あなたは文明探偵をご存知だろうか。人類史レベルの大きな「時代の節目」を気にして、日夜あまたの情報を収集、解析を生業としているアヤシイ探偵である。
そんな文明探偵から現代ビジネス編集部に1本の分析レポートが届いた。さて、2017年とはどんな年だったのか?
ご無沙汰しております、年末年始恒例の文明探偵です。2017年は皆さんにとって、どんな年だったでしょうか。
思い返せば1年前、こちらのサイトで2016年を「大きな節目の年」として総括しました(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50493)。英国のEU離脱方針の決定や、トランプ氏が米国大統領に選出されるなど、世界的にも激震が走った年でした。
それに比べると2017年は、全体的にはやや「小粒」の年であったように思います。
たとえば日本をめぐる国際環境だけを見ても、東アジア情勢は緊迫しましたが、幸いにして本格的な有事には至っておりません。
北京は全国人民代表者会議(全人代)に集中したこともあって、さほど目立った動きはなく、ワシントンはさまざまな問題の発信源にはなりましたが、問題が多すぎてむしろ国際社会でのプレゼンスは低下気味です。
全体として、すでに2016年には決定づけられていた方向性で世界が動き出し、その結果として個々の具体的な問題が見えてきた、というのが2017年だったのではないでしょうか。
従って、「今年はこんな年だったね」と、切れ味良くまとめるのはなかなか難しいのですが、あれこれ考えていたら、「フェイク」という言葉が見つかりました。今回はこれをキーワードに、主に国内の状況に光を当てつつ、2017年を振り返ってみたいと思います。
まず取り上げたいのは、「土地神話」の崩壊である。
最近、資産価値が落ちて税金や管理費ばかりがかさむ土地、諸事情で売るに売れない土地など、いわゆる「負動産」が増えている。土地が必ず資産になるという時代は過ぎ去ったのだ。
今年は、週刊誌の特集や新書などを通じて、そのことが広く知られるようになった。(例えば、『老いる家 崩れる街』〔野澤千絵、講談社現代新書 2016〕や「マイホームが「負」動産になる 持ち家が危ない」〔『週刊東洋経済』2017年1/28号〕など)
不動産関係者のみならず、一般の人々も相続などを通じてこの種の問題に遭遇するケースも多いが、よりマクロに見れば、都市そのもののサステナビリティにも深く関わる問題であり、もう誰にとっても他人事ではない。