「2017年はお祭り」だった不動産市場に忍び寄る「お開き」の不安

庶民不在の宴は富裕層と外国人だらけ
牧野 知弘 プロフィール

ホテルがマンションを駆逐する

こうした背景から、マンション用地の取得は都心部に偏ることにならざるをえない状況にある。しかし、都心部を狙っているのはマンションだけではない。そこには強力なライバルが現れている。ホテルだ。

昨今のホテル建設ラッシュを、2020年東京五輪に向けた動きと受け止める向きが多いが、実は五輪を持ち出すまでもない。訪日外国人(インバウンド)の数は、2017年の総計で2800万人程度になると予測されている。2011年に600万人程度だったことを考えるならば、このマーケットに強烈な追い風が吹いていることを実感できるだろう。

ホテルロビーの外国人観光客東京中心部のホテルはどこもかしこも外国人観光客だらけだ photo by gettyimages

要するに、急増するインバウンドの受け皿として、足もとのホテル需要が大都市を中心に活況を呈しているわけだ。ホテルの不足は宿泊単価の高騰につながり、そのことがホテル用地の仕入れ値の上昇に寄与している。従来であればマンション用地として取得できた都内の好立地の土地が、軒並みホテル用地として買われてしまう、というマンション用地担当者の嘆き節を今年は随所で聞くことができた。

 

民泊が大ブレイクの予感

ホテルとともにおおいに話題となったのが「民泊」である。

空き家やマンションの空き住戸などを利用して訪日外国人客に部屋を提供するこのサービス。外国人客の急増に伴うホテル客室不足や、ネットで仲介する業者の出現などによって急速に広まったのだが、日本ではどちらかといえば、そこに宿泊する外国人たちの大騒ぎ、ゴミ出しなどのマナーの悪さや治安への不安といったネガティブな側面ばかりが誇張されて伝えられてきたように感じる。

民泊を新しいビジネスとして推進しようとする不動産業界と、自分たちの経営が圧迫されるとして反対する旅館・ホテル業界とのせめぎ合いもあったものの、民泊の健全な普及を図るための「住宅宿泊事業法」が2018年6月に施行されることが決まった。

同法について、最大の争点であった民泊の営業日数に関しては、年間で最大180日までの営業にとどめ、実際の規制については各自治体に委ねることとなった。本来的には民泊を法的にしっかりと位置づけて推進していくことが目的だったはずだが、結果として「民泊を規制する」意味合いの強い法律になったのは、既存の業界への配慮が重要視される、いかにも日本的な決着と言えるだろう。

それでも、民泊は住宅の新しい利用法として活路を見出しつつある。実際に東京や大阪などの大都市では、民泊を行う事業者が急増しており、一部でビジネスホテルの顧客を奪っているとの指摘も出始めている。

新しい法律によって今後は一時的に数が減少することも予想されるが、規制内容が明確になるにつれて新しい宿泊形態として急速に広まることも期待される。とりわけ相続や事業承継の問題などで廃業を余儀なくされる既存の旅館、ホテルなどの代替えとして、空き家などを活用した民泊は一定のポジションを得ていくのではないかと筆者は予想する。