「エホバの証人」元信者女性が自分の体験を漫画にした理由

「私は普通でありたかった」
いしいさや

入学式の時にはもう、先生に「証言」――聖書の教えに従ってできないということを伝えること――をしないといけませんでした。伴奏が流れても、起立もせず、座ったまま歌わず。周りの生徒は、具合が悪いのかな、程度にしか思ってなかったと思いますけど。

争うことも禁止なので、もちろん運動会も参加しません。誕生を祝うことも禁じられていますし、異教の行事への参加も禁止されているので、ひな祭りや七夕やなどの季節のパーティ、誕生会も不参加です。クリスマスもキリストの誕生日のお祝いなのでできません。

入信するのはこんな人

入信し洗礼――バプテスマといいます――を受けた人には、厭世的で、世の中が嫌になってしまった人が多い。エホバの証人の世界は、争いや政治もない、キレイな世界に見えますから。

 

エホバの教えを知っている自分たちが賢くて、反対している人は教えを知らない可哀想な人たちだと思っている。だから善意で勧誘するわけですけれど、熱心に奉仕活動をするためには、普通には働けません。

正社員として働いてしまうと活動、奉仕の時間がとれないので、就職しない人が多かったです。だから、パートやアルバイトで生活費をまかなっています。奉仕は時間を報告しなければいけなくて、長く奉仕をしている人には特権が与えられます。奉仕は平日にもあるので、正社員には難しいんです。

私は、高校の時に母に、「本当は全部嫌だったー!」と打ち明け、集会や奉仕などの活動にも行かなくなり、卒業後に正社員として就職しました。就職したことで、エホバの証人から離れたと兄弟姉妹にも認識されたんです。

その時には、「この世が嫌になったらいつでも戻ってきて良いんだよ」という手紙をもらいました。

漫画のことは内緒ですけれど、今も母と連絡はとりますよ。時々連絡が来て、「聖書にはこんないい話があるよ」と紹介してきたり。ありがとう、とは言いますし、気遣いへの感謝はありますけど、その話を読むことは少ないですね(苦笑)。

次回は、いしいさんが幼い日に体験した「同級生の家への勧誘訪問」「ムチでのおしおき」「信者ではなかった父親の話」など、より深い部分について聞いていく。→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54012