「エホバの証人」元信者女性が自分の体験を漫画にした理由

「私は普通でありたかった」
いしいさや

エホバの証人とは何なのか

エホバの証人の「エホバ(ヤハウェ)」は全知全能の神。イエス・キリストはその息子であり、代弁者である。エホバという神以外は崇拝してはいけません。教えの出典はすべて聖書です。エホバの証人とは、つまり「エホバが正しいと証明する人」ということです。

教えを簡単に言うとこうなります。いずれ来るハルマゲドン(世界の終末)の後に楽園がやってくる。楽園を支配するのはイエス・キリスト。その楽園に行けるよう現世ではエホバの教えに従って生きましょう、というものです。

このハルマゲドンには歴史があって、最初は創始者によって1914年に起きると予言されていました。その年にたまたま第一次世界大戦が起きてしまったので、信者が拡大したんです。世紀末思想や、冷戦の核戦争危機、最近だとミサイル問題などを見て「ハルマゲドンが近い」と信者の人は思うんですね。

 

ハルマゲドンが起こると、地球が崩壊する。その後、信者らが生き残る。エホバの証人の教えに反対した人たちは生き残れません。だから毎週、地域を訪問して勧誘をするのは、生き残るチャンスを与えるため、彼らを救うため、という理屈なんです。

すみません、よくわからないかもしれませんが、とにかくそういう教えです(苦笑)。エホバの証人では、生きている間の義務は、教えを守るだけ。反対されても、「迫害を受けているのはハルマゲドンが近いからだ」と喜ばないといけません。

信者をたくさん獲得しなさい、とか、いくらお金を収めなさい、とも言われないので、他の宗教とは違って社会問題にならず、「被害者の会」がないんです。

また、教祖はおらず、信者の集いというかたちです。正式名称が「ものみの塔聖書冊子協会」なのもその現れです。だから、権力闘争がないんですね。他の宗教のように、聖書を解釈した人が聖人になる、ということもありません。みんなが聖書研究者と呼ばれています。

自分で選択して信者になっている人に、デメリットはないと思います。実際に、母はすごく幸せそうです。

小さい頃の私が、「ウチって普通じゃないんだ」と気づいたのは、学校に通うようになってからでした。なぜなら、国歌、校歌を歌ってはいけないんです。エホバの証人では「偶像崇拝」が禁じられていますから。

ただ、校歌を歌っていけない、というのは正確ではなく、実際には「エホバの教えに従って、あなたも納得したから、歌わないのはあなたの意思ですよね?」と常に確認させられます。だから、「無理やり命令されているのではない」という論理です。……ちょっとブラック企業みたいですね(笑)。