# 天下り

「天下り問題」で処分された元文科次官が、こっそり天下りしていた!

文科省内で囁かれる批判の声
長谷川 学 プロフィール

内閣人事局の資料によると、JSTには2015年度だけで泉紳一郎氏(元科学技術・学術政策局長)と中村英俊氏(大臣官房付)が、それぞれ「JST社会技術研究センター長」と「上席フェロー」として天下っている。

このほか文科省キャリア組としては、沖村憲樹日本・アジア青少年サイエンス交流事業推進室長(元文部科学審議官)、真先正人総括理事(元大臣官房審議官)、倉持隆雄研究開発戦略センター長代理(元内閣府政策統括官)、林幸秀研究開発戦略センター上席フェロー(元文部科学審議官)、有本建男同センター上席フェロー(元科学技術・学術政策局長)などが在籍中だ。

先輩・後輩の縁で「既定路線」に

冒頭の文科省幹部は土屋氏の天下りの背景をこう話す。

「土屋氏の受け入れは、いまはJST内にいる、旧科学技術庁系の『天下りのドン』と呼ばれた人物が主導したと聞いています。

この人物は、旧科技庁系職員の天下りを差配しているとされる大物で、自民党幹部とも太いパイプを持っている。土屋氏は旧科技庁出身で、その後輩にあたります。

JST内で、このドンがトップをしている事業に国の予算がついたのは土屋次官の時代でもありました。土屋氏がJSTに天下ることは既定路線だったと言っていいでしょう。

このドンは、将来的には自分がJST内で立ち上げた事業のために別法人を起こし、その幹部に土屋氏をすえて、自らは裏からそこを牛耳るという腹案まで持っていると噂されています」

 

問題は省内でさえ批判が起きていること

「天下り」というとネガティブなイメージしかないが、実のところ元官僚が、自分のスキルや知識を活かして、退職後も働き、社会参加すること自体は、もちろん問題はない。

問題は、天下りが繰り返し行われる会社や組織と省庁との間に好ましからざる「連帯」が生まれ、公金を使った利益誘導が行われるようになってしまった場合だ。

そして実際、そのような利益誘導は長年、日本社会のあらゆる場面で日に陰に行われてきたのである。

そうした事態を少しでも解消するため、2008年の改正国家公務員法では、現役職員による再就職の斡旋が禁止された。冒頭に書いた大量処分は、文科省内でその後も現役職員が天下り斡旋を続けていたことが問題視されたものだった。

その基準に照らしてみれば、今回の土屋氏の天下りに、別段、違法な点が見られるわけではない。

むしろ問題は、「たいした職務上の成果をあげなくても高給をもらっている元官僚がいる」という批判が、文科省内ですら囁かれていることのほうだろう。

ただでさえ「天下り官僚」は、国民からは厳しい目で見られがちだ。その疑念を払拭するためには、やはり元官僚の人々自身が、誰もが納得できるような、給料に見合った働きをみせるしかないのではないか。