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# 天下り

「天下り問題」で処分された元文科次官が、こっそり天下りしていた!

文科省内で囁かれる批判の声

省内で聞こえてきた「批判の声」

前川喜平・前事務次官が、文部科学省による組織的な天下り斡旋問題で懲戒処分を受けて退職したのは2017年1月20日のことだった。

その後、前川氏は、加計学園の獣医学部新設問題で国会証言するなど一躍「渦中の人」となった。だが、そんな騒動を横目に「天下り生活」を謳歌している文科省の元次官がいるという批判の声が、筆者の耳に聞こえてきた。

 

天下り斡旋問題に関して、文科省による調査で判明した違法事案は62件。そのうちの半数は、当時メディアで取り沙汰された「仲介役」のOBを経由せず、現役職員が仲介していた。まさに、組織ぐるみの天下り斡旋だったわけだ。

結果、前川氏の退職2ヵ月後の3月30日にも追加の処分が行われ、歴代事務次官8人を含む37人もの大量処分が発表されたのだった。

当時の松野博一文科相は「国民の信頼を裏切った」と謝罪している。

この追加処分を受けた歴代次官の中には、「訓戒相当」の処分を受けた土屋定之・元事務次官も含まれている。土屋氏は前川氏の前任の事務次官で、処分当時は文科省の顧問だった。

その土屋氏について、ある文科省幹部は筆者に対し、「天下り問題で責任を問われたのに、国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)で、天下り生活を満喫している」と批判した。

何の成果もなくても、高給が約束されている?

さらに、この文科省幹部は、「JSTは本来、産業界にイノベーションを起こす研究・技術に予算をつける組織です。しかし文科省内では、一部の天下り官僚が自分のためのポストを次々に作って、税金を無駄遣いしていると批難する声が上がっているのです」とも話す。

JSTの年間予算は1000億円超。言うまでもなく、そのほとんどは政府支出、すなわち国民の税金である。

いったい、JSTの中で何が起こっているのか。

別の文科省関係者は「土屋氏は次の天下り先が決まるまでの腰かけ用としてJSTに『上席フェロー』として天下ったと聞いている」と批判的な前置きをした上で、内情をこう語った。

「JSTには、文科官僚のキャリアだけでなくノンキャリアも大量に天下っていますが、とくにキャリア組の中には『上席フェロー』などの肩書きを与えられ、実質、何の成果も出さずとも年間1300万円以上の高給を受け取っている人がいるのです。

さらにキャリア組は他法人の理事など、ポストをいくつも兼務していることが多いので、文字通り『優雅な生活』を送ることになります」

しかもJSTに天下ったキャリア組の一部は、組織内に自分の居場所を確保するため、新たな役職やポストを作り上げて居座り、なかなか辞めないのだと、この文科省関係者は指摘した。

「長年、好待遇を受け続け、70歳を超えても、まったく辞める素振りを見せない元キャリア官僚が複数います。そこにさらに60歳を過ぎた高給取りのキャリア官僚が毎年、次々に天下るので内部は『元官僚の社交場』状態に。そのため、文科省内からも『ひど過ぎる』という声があがっています」(文科省関係者)

「知られざる天下り」になった経緯

こうした証言を受けて、筆者はJSTのウェブページ内を「土屋定之」「上席フェロー」というキーワードで検索したが、それらしいページがヒットしない。

念のため、内閣人事局による、退職公務員の再就職先一覧にもあたったが、内閣人事局の最新の再就職先の公表分は2017年3月31日時点でのもの。3月30日の文科省による処分発表当時に顧問だった土屋氏の名前は、公表資料には見当たらなかった。

最終的にJSTに確認を取ったところ、広報より、2017年9月に土屋氏が同機構の「上席フェロー」に就任したとの回答を得た。

極めて目立たない形ではあったが、土屋氏のJSTへの天下りは、やはり行われていたのだ。