『ファイナルファンタジー(FINAL FANTASY)』の第1作が発売されたのが1987年。それから20余年が経ち、現在では最新作の発表の度に、日本、北米、ヨーロッパなど世界中で数百万本を売り上げる「怪物」ゲームに成長している。2006年にプレイステーション2上で発売された『FF XII』は全世界で現在までに600万本以上の売り上げを達成した。
2009年の年末に発売されるシリーズ13作目は、ソニー・コンピュータエンタテインメントが開発した最新鋭ゲーム機、「プレイステーション3」をプラットフォームとし、初めてのハイデフィニション(HD、高精細)画質の『FF』として内外のゲームファンの注目を集めている。世界最高峰のCG技術を駆使し、ハードの限界に挑み続けるFFシリーズの最新作の開発にはピーク時で100人以上のスタッフが関わり、多くの月日がかけられた。その制作総指揮をとったのが、スクウェア・エニックスのプロデューサーの北瀬佳範氏である。
「ゲームをクリアした後に流れるエンドクレジットの長さを見ていると、本当にハリウッド映画と同じような規模になってきましたね」と笑う北瀬氏。
彼がゲームの世界に身を置くようになった原点も、幼き日に観たハリウッド映画にあった。1978年7月、『スター・ウォーズ』が日本で公開されたのである。
「映画が好きだった父親の影響で、小学校低学年の頃には夜9時から放映していた洋画をよく観ていました。それで12歳のときに映画館で『スター・ウォーズ』を観て、すごく面白く感じたのと同時に『何でこんなにリアルなんだろう』と疑問を持ったんです。いわゆる映画のメイキングビデオというのも当時が出始めで、『スター・ウォーズ』のメイキング風景をビデオや本で見ました。ミニチュア模型を用いた特撮手法をいろいろ工夫して、当時にしては非常にリアルに感じるSFの世界を作り上げたことに衝撃を受けて、それまでは受け手として映画を観るだけだったのが、裏方の物作りをしている人たちの仕事に関心を持つようになった。今ゲームの世界で働いているのも、そのときの衝撃が原点になっていますね」