奨学金で借金600万…女子大生風俗嬢「その後の現実」

彼女たちの人生はどこで変わったのか
中村 淳彦 プロフィール

返済額は月2万5000円だった。ちゃんと就職して無駄使いをしないで、コツコツと返していけばいいじゃないか、というのは大人の意見だ。まだ何者でもない若者に数百万円という負債を突きつければ、大なり小なり混乱し、合理的な判断ができなくなる。

「大学に奨学金友達が2人いて、その子らも将来を諦めてます。真面目に考えるとおかしくなっちゃうから。時々、憂さ晴らしでお酒を飲んだり、クレジットカードで買い物したり。

3人集まると、将来の不安の話ばかり。結婚できないんじゃないかとか。私たち本当に不幸だねって。その1人から夜の仕事をしたいって相談された。今、ОLをしながらデリヘルで働いています」

 

風俗に走る女子大生が増える理由

貧困家庭の子供は両親の援助がない環境で、無理して大学進学する。入学してすぐに授業だけでなく、学費納入や生活を維持するためのバイトに追われる。

金銭的にも生活にも余裕のない彼女らは追いつめられてだんだんと合理的な判断ができなくなり、その一部は夜の世界や性風俗に流れていく。女子大生は肉体を最も換金しやすい年齢であり、価格が高めの風俗店に行けばどこにでもいる。

大学の偏差値や入学の難易度に関わらず、どこの大学にでもある日常風景である。

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女子大生が風俗嬢に至るケースは、おおまかに2つにわかれる。

ひとつは日本学生支援機構の奨学金のリスクを知って、制度利用を回避。また最低限の利用におさえて、カラダを売って足りないお金を補填すると覚悟する。もうひとつつは深く考えずに親や教師に薦められるまま制度を利用し、卒業後に現実に気づいて混乱する。返済が迫ってから風俗店に駆け込み、ダブルワークする。

筆者が大学生だったころに比べ、この十数年の間で大学は講義の出欠に厳しくなった。さらに30年前と比べ国立大学の授業料は約15倍、私立大学でも約4倍と学費の上昇も続く。

講義とバイト、また就職のためのインターンシップ活動や企業研究などもこなさなければならないため、現代の大学生は基本的に忙しく、家庭からの金銭援助が少ない学生の多くは、時給のアルバイトをしても生活に必要な金額を稼げない。

そういった社会的背景から、性経験や性格、育ちに関係なく、女子学生は必然的に夜の世界へ流れる。男子も同じく一部がホストやキャッチ、スカウトなどの世界に流れている。

リスクを知って、借金を避ける前者は入学の難易度の高い女子学生が中心だ。後者は難易度の低いいわゆる「全入大学」でよく聞く。彼女のケースは、後者に近い。在学中から風俗で働きながら、奨学金という負債を深く考えていなかった。

AV業界は斜陽産業であり、容姿のスペックが高い山田さんでも活躍するのは半年が精一杯だった。よっぽどの人気女優でもない限り、長くいればいるほど、AV女優としての商品価値は下がり、すぐに使い捨てにされることは理解していた。

引退後にまた一から就職活動をする勇気はなく、ハローワークで求職、医療法人の事務職に採用された。

「非正規雇用での病院事務でしたが、初めて就いた昼の仕事です。でもそこは人間関係が難しく、給料も低くて拘束時間も長かった。毎日、3、4時間の残業があり、土曜日も出勤があった。休みは月6、7日で給料は17万円くらいでした。

一人暮らしで手取り17万円では、生きていくのは不可能だから、風俗は続けるつもりでいました。でも、残業があるから、夜の仕事と掛け持ちをする余裕がない。全然割に合わないと思いました。貯金を切り崩す生活していたけど、それももたずに半年で辞めた」

最低でも生活費20万円は必要だった。しかし仕事を探しても非正規雇用の求人ばかり、その金額を超える仕事は見つからなかった。しばらく探して、あるサービス業に採用された。

「昼の仕事だけで借金を返済しながら生活をしていくには、もう最初から金銭的にしんどくて。だんだん精神的におかしくなった。夜の仕事と生活もできない昼の仕事の金銭的なギャップについていけなかった。

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