奨学金で借金600万…女子大生風俗嬢「その後の現実」

彼女たちの人生はどこで変わったのか
中村 淳彦 プロフィール

返済は47歳まで続くから…

お金に困ることはなくなったが、両親に風俗のバイトがバレないように月10万円の奨学金は借り続け、学費に充てた。3年生になり、それまで通っていた横浜のキャンパスから白金に移り、それを期に実家をでて、一人暮らしをはじめた。

大学もバイト先の風俗店も、遊ぶ繁華街も近くにあって悠々自適な学生生活を謳歌した。時には週10万円、月40万円くらいの買い物をすることもあったという。

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しかし、大学3年の冬、就職活動をはじめたあたりから、徐々に精神状態が崩れ出す。

社会人になって風俗をやめれば、収入は当然下がる。近い将来、収入が減り今の生活レベルが維持できなくなる、という悩みがはじまった。風俗をはじめるきっかけにもなった、海外勤務ができる企業に就職したいという初心もすでに消えていた。

そのころにはもう、今までの自由気まま生活がずっと続けばいいと思っていたという。身が入らないままに就職活動を続け、4年秋に、やっと非上場の中小企業から内定をもらった。

大学4年の10月に奨学金貸与者を対象にした返済のためのオリエンテーションで、利息を含めた奨学金の返済総額が600万円にものぼるという現実を知った。プランを見ると40代半ばまで返済が続く。社会人なってからの収入減だけではなく、600万円の借金返済も立ちはだかった。

「3年からは大学の講義を受けながら就職活動、風俗で働く日数も減って、一時期よりもそんなに稼いでいなかった。一人暮らしをしていたし、学費以外のすべてを風俗で稼いだお金でまかなっていたから、そんなにお金は余らない。

毎月振り込まれる奨学金は生活費にはしなかったけど、結局全部学費で使った。返済のオリエンテーションを受けてから、もうすごく、どんどん不安になった。

内定した会社の初任給は19万円くらい。そこから保険料や社会保障を天引きされて手取りがいくらになるかと考えると、600万円なんてお金を払えると思えなかった」

 

日本学生支援機構の奨学金は、無利子の第一種と有利子の第二種がある。第一種は「特に優れた学生及び経済的理由により著しく修学が困難な者に貸与」を行う。

審査によって家庭が経済的弱者と認定されれば貸与が認められる、高校3年の未成年に数百万円の借金を決断させる常識を逸脱している制度で、当然のように自己破産が相次いでいる。

国の制度なので親や高校の進路担当者は、気軽に奨学金を受けるよう勧める。金銭賃借契約を結ぶのは未成年であり、学生は返済総額や利息率をよく知らされないままに借金を背負う。多くの学生は莫大な借金の現実に気づくのは、山田さんのように返済日が迫った卒業直前かもしくは、社会人になって返済を迫られてからになる。

「現実に気づいてすごく悩んだ。1ヵ月20万円にも満たないお金で生活して、かつ借金まで返していけるとは思えなかった。その頃にプロダクションにAV女優になることを薦められて、600万円のうち半分でも稼いで楽になろうと言われた。

オリエンテーションを受けた当初は、昼間働いても風俗をしながら、借金を返そうと考えていたけれど、そう言われてだんだんと、まとめて返して早く楽になりたいって気持ちが強くなっていった。それで内定した会社を断ってAV嬢になってしまったんです」

プロダクションの説得に応じ山田さんは、卒業前にAVデビューを果たした。お金になりそうな女性には業者が近づく。容姿のスペックが高い彼女は、企画単体デビューしてそれなりに売れた。結局、半年間で40本近くに出演している。

「今でも混乱していて現実の整理がついていない。ただ、ずっと借金を抱えるってことが不安たまらなくて、AV譲になった。

でも、AV女優になったから、その稼ぎで300万円は返せた。それだけが救い。今の返済額は残り200万円くらい。47歳で完済だったのが、32歳までに繰り上がった。やっぱり600万円は、とんでもない返済金額です。」

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