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話題記事「深セン感動26歳」への中国共産党と人民たちの驚きの反応

肯定、否定、入り乱れ…

「刺さった」のはおじさんだけではなかった

12月上旬、本サイト(現代ビジネス)上で、広東省の経済都市・深センを現地取材した26歳の若手ライターによる「日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと」と題した記事が大ヒットした事件はまだ記憶に新しい。

本記事については著作家の山本一郎氏や常見陽平氏らが熱い対応を示したほか、中国ライター業界でも山谷剛史氏や私(安田)がアンサーを述べた。それだけ「オッサン」たちに刺さる、熱量とメッセージ性を持つ記事だったということだ。

だが、実は「刺さった」のは日本のオッサンだけではなかった。12月12日、中国の外文ニュース翻訳新聞『参考消息』WEB版が、なんと当該記事の全文を翻訳して中国国内向けに配信したのだ。

 

記事は党機関紙『人民日報』や国営通信社・新華社でも転載され、しかも人民日報アプリを通じて見出し付きで中国全土の多数の人たちに通知されるに至ったのである。

『参考消息』の翻訳者は、記事の解説として以下のように述べる。

<本記事の作者である藤田祥平氏は26歳の日本の若者だ。深センにはじめて来た後、彼は現地の繁栄と発展に驚愕した。感慨のもと、彼は日本のメイン社会の発言権を占めている「オッサンたち」にみずからの本音を語る。

日本において、藤田氏は「失われた20年」の中で成長した世代の若者であり、彼の考えはもしかすると充分に視野が広いものではないのかもしれないが、間違いなく日本の若者のある層における心理を充分に代表したものである。>

※『参考消息』WEBページ。昔から海外報道を翻訳して紹介する新聞なのだが、著作権とかどうなっているんだろうか。

中国は今年10月の第19回共産党大会の前から、「厲害了、我的国」(スゲえぞ、わが国)というスローガンを打ち出し、国営放送CCTVの番組などを通じて自国礼賛キャンペーンを絶賛展開中である。

特に中国共産党が人民に伝えたいことをプロパガンダするのが仕事(=党の喉と舌)である『人民日報』や新華社が、今回の記事を盛んに転載してアピールしたのは、それが彼らの宣伝政策に見事に合致していたためだろう。

わが国の日本スゴイ系書籍やテレビ番組からも明らかなように、自国を褒め称えるプロパガンダは、自国民に言わせるよりもガイジンの意見を紹介したほうが説得力が増す。

この点で今回の現代ビジネスの記事は、日々「スゲえ祖国」キャンペーンのネタ探しに苦労する中国共産党の宣伝部門関係者にとって、ありがたい材料が向こうから飛び込んできた出来事だったようだ。