クリスマスに欧米の同性愛者が「ひどい鬱」に陥る事情

カミングアウトの本質とは何か
砂川 秀樹 プロフィール

幸せになれる社会

ところで、カミングアウトという言葉は、日本語で言えば「外に出る」(come out / coming out)という意味だ。

今の日本では、広い意味で使われているが、本来、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などが、自分の性的指向(恋愛や性的欲望の対象)や性自認(自分の性別に関する意識)について誰かに伝えることを指す言葉だ。

そして、それは、「クローゼット(押し入れ)から出る」という、ゲイやレズビアンなどが使っていたスラングから来ている。

〔PHOTO〕iStock

自分がそうだとバレることを恐れて、仲間がいる場にも出ていかないことから「クローゼットにいる」という意味だったようだが、性的指向や性自認について言わないでいることが、自分の心の中の問題だけでなく、自分自身の身そのものを隠すような面があることを示している。

同性との関係を性行為だけに限定している人は別として、それをきっかけとして恋人をつくったりパートナーをつくったり、あるいは同じ仲間と友人関係をつくる人にとっては、カミングアウトしてない相手には、自分の様々な人間関係、人生におけるできることを隠すことになる。

異性愛者が、異性愛者であることと関連することを語り、そのことを語る中で親密な関係を深めていく中、多くのゲイ/レズビアンは、そのことを隠すために、それと関連する「幸せなこと/悲しいこと/嬉しいこと」を分け合わずに生きて行く。

それでもいいという人もたくさんいる。でも、きっと、異性愛者と同じように扱われるならば、きっとほとんどの人は言うだろう。

 

異性愛者と誤解されたまま、そのふりをせずに生きていける社会、誰かを好きになることをめぐっての話、好きになった誰かと人生を歩んでいるという素敵なことを、自分にとって大事な人に伝えたいと思ったときに伝えやすい社会。

そんな社会のほうが、やっぱり幸せになれる人が多いのではないかと私は思う。