撮影:村上庄吾
# AD special

「監査役 野崎修平」 大人を魅了するWOWOWドラマの秘密

プロデューサーが語る「ぶれない視点」

提供:WOWOW

「大人の鑑賞にたえるドラマがめっきり少なくなった」――。

そんな言葉が聞かれるようになって久しい中、他の追随を許さない見応え充分のドラマを連発しているのが、WOWOWだ。

そのドラマ作りへの評価は高く、2016年だけでも「ドラマW この街の命に」が日本民間放送連盟賞のテレビドラマ番組の最優秀賞を、「連続ドラマW 沈まぬ太陽」が、東京ドラマアウォード2016で連続ドラマ部門優秀賞を受賞している。

WOWOWは、なぜこれほどクオリティの高いドラマを作り続けることができるのか?

「沈まぬ太陽」を始め「連続ドラマW 空飛ぶタイヤ」など、数多くの話題作を手がけてきた同社の青木泰憲プロデューサーに、WOWOWのドラマ制作へのこだわり、そして1月14日放送開始の最新作「連続ドラマW 監査役 野崎修平」の魅力について、詳しく語ってもらった。

「大人に楽しんでもらえる」ことに集中する

―― WOWOWのドラマに対する評価が高まっています。WOWOWのドラマ作りには、他にはない特別な秘密があるのですか?

青木 いきなり直球で来ましたね。もっとも大きな違いは、「ターゲットがはっきり見えている」ことだと思います。

地上波のドラマは、小学生からお年寄りまで、幅広い視聴者が見る可能性があることを前提に、なるべく平易に、わかりやすく作る必要があるように思います。

それに比べると、弊社は加入者の方に楽しんでいただくことを前提としているので、ターゲットが絞り込みやすい。具体的には、40代から60代の年齢層が加入者の中心世代であることがわかっているので、それを前提に作品を作っていきます。

また、視聴者の性別を考えてみると、地上波では圧倒的に女性が多いと思いますが、WOWOWの加入者の男女比に偏りが少ないため、過剰に性別を意識する必要がないのです。

つまり、男女を問わず、「大人が興味を持ってもらえるもの」であれば、多少難しい内容でも楽しんでもらえる。それが、WOWOWのアドバンテージと言えるでしょう。

[写真]WOWOWが連続ドラマに挑戦した当初から制作を手がけてきた青木泰憲氏(撮影:村上庄吾)WOWOWが連続ドラマに挑戦した当初から制作を手がけてきた青木泰憲氏(撮影:村上庄吾)

―― WOWOWがはじめてオリジナルドラマを作ったのが2003年。その後も試行錯誤を重ね、5年後の2008年には「連続ドラマW パンドラ」を制作し、連続ドラマにも進出しています。ただ、その道のりは平坦ではなかったようですね。初期には、いまほど視聴者からの支持を得られず、苦しい時期もあったと聞きましたが。

青木 1991年開局という「若い企業」であるWOWOWには、ドラマ作りの歴史もなければ、お手本になる偉大なドラマの先輩もいませんでした。すべてをいちから手探りで学んでいったという印象です。

ようやくWOWOWがドラマで目指すべき方向性が見えてきたのは2008年前後で、その大きな柱のひとつが「社会派ドラマ」でした。

ときには企業や業界の暗部に切り込み、行政や司法の矛盾なども取り上げることになる社会派のドラマは、スポンサーの影響を大きく受ける地上波では作りにくくなっています。

その一方で、40代から60代というWOWOWの視聴層を考えると、社会の動きに対する関心は高い。

そこで、社会性があり、かつ、エンターテイメントとしても成立しているWOWOWならではの社会派のドラマなら加入者に支持されると考えたのです。

地上波では挑戦できないものを作る

青木 その頃、私が手がけたのが作家・池井戸潤さん原作の「空飛ぶタイヤ」(2009年放送)。この作品は、大手自動車メーカーのリコール隠しという、実際に起きた社会問題を背景にしていました。

運送業者のトラックが、ある日、タイヤの脱輪事故を起こし、死傷者を出してしまう。でも、それは運送業者の整備ミスではなく、メーカー側が欠陥を隠蔽したからではなかったか――。

小さな企業が、巨大企業を相手に立ち向かう。そこに、家族や従業員の思い、被害者の思いなどが重なっていきます。

社会派ドラマというと、サラリーマンの男性が主なターゲットになるとイメージされがちですが、このテーマなら女性にも見ていただけると思いました。

そしてまた、自動車メーカーが一大スポンサーである地上波では、なかなかこういう企画を率先して具体化することは難しかったわけです。

この「空飛ぶタイヤ」が成功したことで、社会派をメインにしたWOWOWらしいドラマ作りに手応えを感じました。

WOWOWとしての、ひとつの「正解」に辿り着いた時期だったと言ってもいいと思います。

「仮説と検証」を繰り返して辿り着いた答え

―― そうして、果敢に他ではできないドラマ作りに挑戦されてこられたわけですが、青木さんご自身は、テレビ業界に足を踏み入れる以前から、ドラマを手がけたいという希望を持っていたのですか。

青木 若い頃から映画やドラマは好きでしたが、人並み以上というわけではなかったように思います。

制作局に異動になったときも「こんな作品を作りたい」とか「こんな作品なら受けるだろう」といった具体的な構想はまだありませんでした。

そこで、自分なりに何に軸足を置いて仕事をしていこうかと考えたとき、「どうすれば視聴者の好みに合うか」に徹底的にこだわってみようと思ったんです。

それまでドラマを作った経験がありませんでしたから、まずは頭で仮説を立てて、「こういう要素があれば当たるのではないか」という要件を整理してみました。

そして、実際そのうちの何個を満たせばヒットするのかという検証を繰り返した。そんな中でようやく、先ほどお話した「社会派ドラマ」のような、いくつかの「正解」に辿り着いたわけです。

オリジナルドラマに力を入れ始める前は、外部から購入する映画・ドラマといったコンテンツが中心でしたが、それでもWOWOWの社内には、やがてオリジナルのコンテンツも打ち出していく必要があるだろう、という意識は共有されていたと思います。

ですから、ある程度の試行錯誤は許してもらえるだろうと思ってはいましたが、正直、無駄なお金を使えるほどの余裕はありません。ある程度の数字が稼げるようになるまでは胃の痛い日々が続きましたね。

大人が共感する「不条理との戦い」

―― 社会派ドラマと一口に言っても、たとえば『連続ドラマW 震える牛』では食肉偽装問題、『沈まぬ太陽』では航空機墜落事故、昨年放送の『連続ドラマW 石つぶて』では外務省の機密費流用問題と、テーマにはかなりの幅があるように見えます。テーマ選びで、とくに意識していることはありますか?

青木 基本は今までお話してきたように、「視聴者にどう響くか」を考えることを最優先しています。それに加えて、個人的には「不条理との戦い」が根幹にあるドラマに惹かれている面は大きいと思います。

不条理というのは、社会生活を営んでいる「大人」ならば、誰もが何かしら経験しているものだと思うんですね。たとえば、「なぜ、満足のいく結果も出していないのにアイツが出世するのか」とか(笑)。

そのように、多くの人が、さまざまな場面で、何らかの不満を感じながら日々、暮らしている。でも、現実世界で不条理に真正面から立ち向かえる人は、多くありません。僕自身もできないですよ。

でも、ドラマの主人公たちが、それをやってくれたら、どうだろう。「本当はこうであってほしい」ということに、勇気を持って声を上げてくれたら、共感できるのじゃないか。そういう感情を、作品に託している部分はあると思います。