相撲ファンの「国籍差別」が、相撲界を貶めているという悲しい皮肉

「日本出身」にこだわる意識の正体は?
星野 智幸 プロフィール

―「国技」、「品格」といった、相撲を語るうえで頻繁に用いられる「あいまいな言葉」が、差別の正当化を招いているという指摘には納得させられました。

朝青龍や白鵬といった外国出身の横綱を語る文脈でかならず「品格」という言葉が出てきますが、多くの場合「品格に欠ける」というふうに、貶める方向でしか使われない。こういうあいまいな言葉を振りかざし、誹謗中傷を正当化して溜飲を下げるオジさんたちがいる。

今回の日馬富士の暴行事件にしたって、「力士が力士を殴った」というシンプルな話が重要なはずなのに、「モンゴル人がどうだ」とか、「礼節がどうだ」ということばかりが騒がれている。これは、ルールにもとづいて物事を処理するという努力を怠ってきた相撲界の構造的な問題が原因です。

ニュースを見ていればわかるように、例えばサッカーや野球の試合で選手やファンが差別的な言動をとれば、チームのトップまでが謝罪し、当事者にペナルティが科せられる時代です。なのに、相撲界だけが「国技」という隠れ蓑のもとで、差別がまかり通っている。「神事」ではなく「スポーツ」になればそれはもう相撲ではない。そんな声もあります。でも、その「あいまいさ」こそが、力士たちを傷つけている。

―本書には星野さんの初めての公募小説である、相撲をテーマにした短編『智の国』も掲載されています。

大好きな相撲をテーマに小説を書き始めたのですが、いま読むと恥ずかしいですね(笑)。でも、いまもういちど小説のテーマとして相撲と向きあっていて、来年2月に出版する小説集に相撲小説が収録されます。

相撲へのありったけの愛や希望を「はっきりとした言葉」で発信することで、相撲を破壊するような言動と対峙していきたいと思っています。(取材・文/伊藤達也)

『週刊現代』2017年12月30日号より