「無駄なモノを作って稼ぐ」24歳女子がたどり着いた、新しい生き方

現代の表現とお金について
藤原 麻里菜 プロフィール

私は、小学校4年生のときに自分のパソコンを買ってもらい、放課後は友達と遊ばずに自室でネットサーフィンをしていた。

デイリーポータルZの編集長がやっていた「Webヤギの目」や、ガラクタとガラクタを組み合わせて微妙なものを作る「2円以上、7円以下。」、駄美術という脱力的で面白い作品をアップしている「月刊駄美術図鑑」などがお気に入りだった。

また、ナンセンスマシーンで有名な「明和電機」などもインターネットを通じて知った。笑いを物作りに落とし込むことを自分もしてみたかったのだ。

なので「自分なりに面白いものを作る」というざっくりとした欲望を「無駄づくり」とキャッチーにまとめて、やってみようと思いついた。

YouTubeは、企画から編集、アップロード、拡散まで全てを自分一人でしなければならない。

「無駄づくり」の企画を出したくせに工作もあまりしたことがなかった。それに、映像編集の経験もない。

いくら儲かるかも分からない動画だったが、最初は、1本の動画を作るのに丸2日かかった。

「無駄づくり」は、芸人の同期・先輩、事務所の社員などにとても好評だった。下の下の芸人だった私が、急にちやほやされ始めて、嬉しくて天狗になっていたのをよく覚えている。

周りの評価だけでなく数字も伸びた。「これはなんかいけるんじゃないか」――そう思って、ネタをやるライブには出演せずに、YouTubeの動画制作に時間を使う決断をした。

そのうち、「これって芸人と言えるのだろうか」と考えるようになった。それまでの私は、憧れの芸人像を追っていたのだ。舞台やテレビでネタをやって大爆笑をかっさらう芸人になりたかった。なるはずだった。

が、薄々気づいていた。そういう才能がないということに。舞台でスベって心と胃がぎゅーっとなることはよくあった。

しかしYouTubeでは「面白い」とコメントがつき、数字も増えていく。YouTubeでは好きなことを表現できている。芸人として振る舞うときは、うまく自分が表現できない。

理想と現実、できることとできないこと、好きなことと嫌なこと、お金を稼げることと稼げないこと。ちぐはぐになっていき、それぞれにギャップが生まれた。

芸人として生きることが自分にはできない。諦めるのはかっこ悪い。でも……悩んだ末、芸人を辞める決断をした。