「バノン来日公演」4万8600円払って行ってみたら、ズッコケた

大手メディアが報じなかった裏側
現代ビジネス編集部 プロフィール

"MAKE AMERICA GREAT AGAIN"

場面を12月16日の「J-CPAC」会場に戻そう。エスカレーターを上がり2階の会場へ向かうと、何やら物々しい雰囲気である。クロークで上着を預けたあと、金属探知機を持つ警備員によるボディ・チェック、カバンの中身の確認が義務付けられている。ペットボトルなどの液体も一切持ち込み不可だ。

バノン氏が会長を務めるニュースサイト”ブライトバート”は、周知のとおりトランプ大統領を強力に支持し、その当選の立役者とさえ言われた、おそらくいま世界一の影響力を持つ「右派系ウェブメディア」である。バノン氏を狙うテロリストや暗殺を目論む刺客が、会場に紛れ込んでも不思議ではない。

"ブライトバート"のウェブサイト

16・17日の2日間の日程で行われる「J-CPAC」だが、公式サイトなどのプログラム表を見る限り、バノン氏が登場するのは16日17時45分からの「スティーブ・バノン氏スピーチ」とその後の「バノン・レセプション」、そして17日昼の「J-CPACスペシャルセッション バノンと語る」のときだけらしい。

そのほかのプログラムでは、前述の「日本の保守の大物」たちや、米国からやってきた本家「CPAC」関係者たちが、「日本の核武装議論の是非」や「偏向報道の実態」など、それぞれのテーマに沿って淡々とトークセッションを行い、その内容はいたって真面目だった。登壇者個別の主張の中身やその是非、歴史認識といった点まで本稿は立ち入らないが、そのほとんどが「保守派」とはいえ、これだけ多くの識者の見解を一度に聞ける機会は貴重なのかもしれない。

「J-CPAC」公式サイトより
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メイン会場のキャパシティは、会場で配られたプログラム表には「600人」とあったが、並べられているイスをざっと数えたところ、用意されているのは300席ほどと見受けられた。埋まっているのはそのうち半数強だろうか。アナウンスは「本日は満席となっております」と言うが、そうは見えない。

参加者は、スーツ姿の老紳士、カジュアルな服装の中年男性から、華やかなセットアップ姿の若い女性まで意外と幅広い。半額の「学割チケット」も売り出されていたからだろうか、学生と思しき私服姿の青年グループもちらほらいる。韓国語で談笑するグループもあった。

登壇者の目の前に3列ほど確保された「VIP席」には、そうした参加者に混じって、トランプ大統領が選挙戦で使用した、”MAKE AMERICA GREAT AGAIN”のプリント入りの赤い帽子をかぶる、日本人の親子連れの姿が見える。

Photo by gettyimages

3万円の「バノン・パッケージ」を購入した筆者にも「VIP席」に陣取る権利はある。しかし、こうした光景をいざ目の前にすると、単なる野次馬的興味で参加している手前、なんとなく気後れしてしまう。