直木賞作家による「モテない男の子のためのモテ講座」

東山彰良×峰なゆか【特別対談】
小説現代 プロフィール

踏み出した奴が勝ち

――アラフォー、アラフィフあたりの中高年は恋愛やモテをどう考えていくんでしょうか。

東山 どうなんでしょう、女性は結婚に対しての焦りのようなものはなくなっていくのでしょうか。先の時間を考えてできることが短くなると、刹那的に今の充実感や癒しのようなものを求めるようになっていくのか。その幸せな一瞬があれば、満足できる。それが男女で過ごす時間だったりするようなこともあるのかもしれない。

僕にとっては、小説を書いている時間が自分を落ち着かせて、どろどろしたものを昇華できる時間だったりします。そういう現実逃避のようなものを求める四十代、五十代というのは増えていくような気がします。

 不倫って感じがしますねえ。

東山 まさにそのイメージで話していました。だから今、そうした話が溢れているのではないかと。

 うーん、W不倫であれば、お互いにとって良いのでしょうが。やはり独り身の女性にとっては、自分が自由にできない相手を待つ時間はつらいですよ。

東山 たしかにそうですね。われわれ小説家は言葉で飾り立てて、読者の想像力に委ねることはできるけど、実態はあまりわかっていないのかもしれません。想像力をかきたてて読者が世界をつくるサポートはできても、現実社会における説得力については絵でストレートに伝えられるぶん、『アラサーちゃん』に負けます。

そのあたりが文章ですべきことと漫画でするべきこととの違いなのかもしれない。僕は自分の書いた文章が相手に伝わるかどうかは大事なことでなく、大事なのは読者が自分のほうに引き寄せてその本を読むことだと思っています。

 

――当初目論んだモテ指南にはなりませんね……(笑)。

東山 そりゃそうだよ。モテの道は一日にして成らずだから。

――四十男がどうすればモテるかという点は端的に聞いてみたいです。

 うーん。

東山 モテたらラッキー。期待しない。期待する心を女子に見透かされるから。わかんないけど……。(しばし沈黙)同意してくれないから違いそうだな(笑)。

 個人的にはそういう人が好きですし、その人にとっても傷つかない安全な道ですよね。ただ、モテるには、茨の道ではあるけど、モテて当然みたいな態度をとっている人のほうが結果は出ます。ただそれでモテないとバカみたいだし傷つきますけどね。男女問わずやっぱりそう。

東山 やっぱりモテるには茨の道に踏み出さなきゃいけない。傷つくことを恐れるな、守りに入ってちゃモテないぞってことか。大きな一歩を踏み出しますよ。まず携帯買います。

――そうすれば噂のグループと連絡がとれるようになるかもしれませんよ。

東山 そうか、じゃとりあえず毎月サイン会やってよ。じっとグループからの接触を待ってるよ。

 その界隈では一人とやると「東山やれるよ」ってすぐに話題になりますよ。

東山 まじ!

 はい。「すぐ連絡くるし」って。

東山 それ、ダメでしょ。それじゃ、ヤリチンじゃなくてヤラレチンじゃない。

――こんな話ばかりしていたら、1時間が経っていました。

東山 いいんじゃない、さっきのモテたいなら茨の道ってことだよ。踏み出した奴だけがモテるってことで締めよう。

アラサーちゃん無修正5