祝・初タイトル!川崎フロンターレ「驚きの瞬間」ベスト3

心に残るイベントばかり

まさかの行事アナウンス

川崎フロンターレがクラブ創設21年目でついにJ1初タイトルを獲得した。

首位鹿島アントラーズと勝ち点2差の2位で迎えた12月2日のリーグ最終節、大宮アルディージャに5-0と圧勝。ジュビロ磐田とスコアレスドローに終わった鹿島を得失点差で上回り、劇的な逆転優勝を飾った。

フロンターレ一筋、15年目の中村憲剛はピッチに突っ伏して涙を流していた。優勝インタビューで歓喜に沸く等々力競技場のスタンドに向けて、マイクにこう言葉をぶつけた。

「サポーターのみんなが“優勝を”という思いでチームを強くしてくれました。3000人、4000人が当たり前だったスタジアムが毎試合、満席になってくれるとは夢にも思いませんでした。そのなかで優勝できたのはみなさんのおかげです!」

最終戦のチケットは完売。中村はファン、サポーターの「最高の後押し」に感謝した。

 

今季のフロンターレはJ1リーグ戦における等々力でのホーム試合(17戦)、昨年とほぼ同水準の約37万6000人を動員した。1試合平均は2万2000人強。観客動員数はJ1の18チーム中5位だが、スタジアム占有率は80%超えを果たしている。最大収容人数2万6232人の中規模スタジアムでこの数字は、素晴らしいと言える。

スペクタルな攻撃サッカーが支持され、強豪の仲間入りを果たしてきたピッチ内の要因はあるものの、その一方でピッチ外の要因も外せない。地域密着型のアットホームなエンターテインメント路線がファン、サポーターの心をガッチリとつかんで離さない。

フロンターレのホームゲームにはアッと驚く企画が多い。

ハーフタイムでフォーミュラカーが爆音を立ててピッチ周辺の陸上トラックを走ったり、オープンカーに乗った西城秀樹が「ヤングマン」を歌い上げたり、“西宮神社の福男”大学生と“山の神”柏原竜二さん(アメフト富士通フロンティアーズ、マネージャー)による福男選び始球式があったり……。これらの企画を、とことんまでこだわるのがフロンターレ流。

一例を挙げれば、スタジアム外のイベントで毎年恒例となっている動物と触れ合う「フロンターレ牧場」には羊の毛刈り体験、牛の乳絞り体験など、ひと工夫が必ず入っている。ファン、サポーターの支持を集め、ファミリー層をターゲットにコツコツと動員を増やしてきた。

それでは「初タイトル記念」として筆者がアッと驚き、クスッと笑った“心に残るイベントベスト3”を勝手ながら挙げたいと思う。

ジャーン! 第3位「まさかの行司アナウンス」

2016年4月2日、鹿島アントラーズ戦。

「イッツァ・スモウワールド」と題した、大相撲とのコラボレーション。現役力士との「どすこいPK対決」に始まり「キッズ相撲対決」「力餅販売」などてんこ盛りの企画で来場者を喜ばせた。またフロンターレのユニホームを着た武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)による始球式も行なわれている。

ただこれで企画は終わらなかった。

試合直前のスターティングイレブン紹介を、フロンターレのメンバーのみ、行司の木村光之助さんが務めたのだ。

いつものアナウンスなら「ゴールキーパー、チョン・ソンリョン」と紹介するところを「守護神、チョン・ソンリョン、大韓民国出身、川崎部屋」と相撲調で始まり、ディフェンダーは「守備」、ミッドフィルダーは「中盤」、フォワードは「攻撃」と続けた。オチは風間八宏監督(当時)。「親方、風間八宏、静岡県出身、川崎部屋」のアナウンスにスタンドからは笑いと、拍手が起こった。

野心的な試みだった。試合モードに入っていくときに笑いが巻き起こるようなエンターテインメント性が強く出てしまうと、“やり過ぎじゃないのか”と批判を招きかねない。企画した担当スタッフは胸を撫でおろして言った。

「もちろん、ふざけてやっているわけではありません。あくまでユーモアの範囲内だと考えてのこと。(スタンドから)どんな反応が返ってくるのかドキドキでしたが、我々としては受け入れていただけたのではないかなと思っています」

なるほど、これでもかとアイデアを出し尽くすサービス精神を理解されているからこそ、支持されたのだろう。