中国人民解放軍が進める「AI軍事革命」は北のミサイルより恐ろしい

元自衛隊最高幹部が解説
渡部 悦和 プロフィール

「軍民融合」により民間AI 技術を軍事利用

中国の主要なIT企業(バイドゥ、アリババ、テンセント)は、ビッグデータにアクセスするメリットを享受し、AIの多くの分野(機械学習、言語処理、視覚認識、音声認識など)で長足の進歩を果たしている。

中国は、軍民融合という国家的戦略により、民間のAI技術を軍事に転用しようとしている。

例えば、自動運転車の技術は、人民解放軍の知能化無人軍事システム(ロボット、無人航空機、無人艦艇・潜水艦など)に応用可能である。

また、コンピューターによる画像認識と機械学習の技術を応用すると、目標認識が不可欠な各種兵器の能力を飛躍的に向上させることになる。

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AIによる軍事革命

米軍は、1990年代後半から当時登場したIT(情報通信技術)を活用したRMA(軍事における革命)により世界をリードし、情報時代における不可欠な技術(ステルス、精密誘導兵器、ハイテクセンサー、指揮統制システム)においても他の諸国に対して圧倒的に優位であった。

中国は当時、米国のRMAを学ぶ立場で、米軍のRMAを子細に観察・研究するとともに、米軍との正面衝突を避け、米軍の弱点を攻撃する非対称的手段(宇宙戦、サイバー戦、電子戦能力)を向上させてきた。

しかし、人民解放軍は今や、米軍も重視するAIによる革命「AI軍事革命」をリードしようとしている。

人民解放軍のリーダー達は、AIが戦争の様相を激変させると確信している。例えば、中国の科学技術委員会のリュー委員長は、「AIは軍事作戦スタイル、兵器体系などを刷新させるであろう」と予想している。

中国では、AIが戦争を情報化戦争(informatized warfare)から知能化戦争(intelligentized warfare)へシフトさせると確信している。