少し前の事だ。
日本銀行の中曽宏副総裁は10月5日、ロンドンで「日本経済の底力と構造改革」と題して講演し、飛鳥時代の歌人、柿本人麻呂の和歌「東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」を紹介して締めくくった。
夜明け間近に東の空が紫色に明るくなり月が西に沈む情景を、朝日が差し込み長い夜の後に日がまた昇ろうとしている日本経済に喩えたのだ。
中曽副総裁は次のように言っている。
「労働市場改革によって労働市場の流動性が高まれば正規社員と非正規社員の分断が弱まり、賃金が労働需給に反応しやすくなる」。
そして、
「生産性の上昇が日本経済の強固かつ持続的成長を後押しする」――。
安倍晋三政権が標榜する「生産性革命」による賃金上昇を予見した同講演は、2018年の日本株の「戌年相場」を予測したものである。