快進撃WOWOW「熱い男の社会派ドラマ」女性プロデューサーの素顔

地上波にはマネできないことをやる
現代ビジネス編集部 プロフィール

「え、こんな難しいことドラマで言っていいんだ」

そんな「視聴者ファースト」ともいえるWOWOWのドラマ制作への姿勢を、地上波各局とも共同制作を行っている制作会社・共同テレビジョンの永井Pは、どう見ているのか。

永井P「WOWOWさんとお仕事をして感じるのは、自分たちのお客さんが非常にはっきりと見えているなということです。地上波ドラマの現場では、ドラマの展開やセリフひとつにしても、『もっとわかりやすく、よりわかりやすく』と要求されることが普通です。

けれども、WOWOWのドラマでは、非常に難しい社会的な事件に関する用語だとか、複雑な感情表現がどんどん盛り込まれていって、『え、こんな難しいこと言ってていいんだ?』と思うときもありますね」

永井P(撮影:村上庄吾)

それはドラマ「石つぶて」にも当てはまる。原作は、ノンフィクション作家・清武英利氏による硬派な本格ノンフィクション『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』だ。

描かれるのは、2001年に発覚した外務省の「機密費流用事件」。警視庁捜査二課の名もなき刑事たちが、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も購入していた外務省の「ロジ担」(ロジスティクス担当=外遊などの実務を行う裏方)のノンキャリア職員を追ううちに、「国家のタブー」である「機密費」の存在に触れてしまう――。

そもそもが地上波ドラマならば「行政を刺激する」と自主規制の対象になりそうな硬派すぎる社会派のテーマ。その上、登場人物たちが口にする「言葉」も難解だ。

ドラマの中では、汚職を表す警察用語「サンズイ」や、機密費の公式な名称である「報償費」などといった警察・政治・銀行・外交などの用語が多用されている。なぜ、そんなことが許されるのか。

 

永井P「有料放送であるWOWOWでは、加入者の方はお金を払って、腰を落ち着けて作品を見ようとしてくださる。そういう姿勢で、このドラマとも向き合ってくれるんだ、ということをWOWOWのプロデューサーは、明確にイメージされていると思います。だから、多少難しい言葉でも、視聴者が冷めるような説明はあえて入れない。ちょうど映画とドラマの中間にあるようなバランス感だと思います。

現場での役者さんたちの姿も、地上波ドラマとはちょっと違うなと感じています。というのは、年配の役者さんたちがとてもいきいきしているんです。

地上波ドラマでは、主役は若い俳優さんたちで、年配の役者さんが物語の中心になることはあまり多くありません。でもWOWOWの現場では、そういう、ある意味で自分が『表現をする』場に飢えていた、力のある役者さんたちが集結して、みんなで面白いことをやろう、と盛り上がっているようなモチベーションの高さを感じます」