東京大学がついに「雇い止め撤回」を決めた、二つの事情

ルール制定の違法性を指摘され…
田中 圭太郎 プロフィール

他大学にも影響を与えるのか

「労働基準法違反」と「女性軽視」。この二つの指摘が決定打となり、ついに大学側が折れた。東京大学は12月までに、雇い止めの撤回などを含む方針転換を決め、同月12日、「働き方改革への対応のための関係規則の改正方針」を正式決定したのだった。

この改正方針によって、非常勤教職員の契約期間を上限5年とする「東大ルール」は、就業規則から削除されることになった。あわせて、パート教職員の契約期間を5年上限から3年上限に改悪される案も撤回された。

改正方針には「プロジェクトや業務の性質により、通算契約期間の上限を設けることが可能」とする一文が入ってはいるが、この新方針によって、ほとんどの非常勤教職員が5年を超えて契約延長できることになったのだ。結果、東京大学では非常勤教職員8000人と非常勤講師3000人のあわせて1万1000人に、無期雇用への転換の道がひらけた。非常勤教職員雇い止め争議は、これで一応の決着となる。

 

さて、今後注目すべきは、今回の東京大学の決定が他の大学法人に及ぼす影響だ。

改正労働契約法の趣旨に反して、非常勤教職員の大量雇い止めを強行しようとしている国立大学法人は、東北大学を筆頭に、依然として存在している。改正労働契約法の趣旨を守って、無期転換を認めるかどうかを明確にしていない国立大学法人も多い。

しかし、日本で最も権威ある東京大学が、雇い止めの違法性を認めて撤回したことで、他の国立大学法人も今後、改正労働契約法に沿った対応をせざるを得なくなるのではないか。

問題が起きている他大学でどのような決定が下されるのか。引き続き注視していきたい。