空き家大国、日本。2033年には3戸に1戸が空き家(河合雅司著『未来の年表』)といわれているが、2013年時点でその数は820万戸に上り、すでに住宅の13.5%が空き家である。
特に深刻なのは「空き家の実家」問題だ。
幼い頃から暮らした、思い出が詰まった実家。都市部で働く子世代にとって、そんな愛着ある実家でも、住むには遠く、貸すにも貸せず、売らざるをえないケースが多い。
「うちは娘が3人で、家を継ぐ者がおらず、実家を処分した」「実家が空き家になり、コンビニを建てないかといわれ、解体した」
そんな話を耳にするたび、もの寂しさを感じる。実家を手放さずにすむ方法はなかったのだろうか。
一方で、実家を「民泊」に活用している人達がいる。古びた家でも、海外から旅行者が泊まりに来るのだ。
空き家に人が集い、灯りが灯り、街が活気づいている。そんな実家の「民泊」活用事例を見てみよう。
会社員のマサヤさん(48歳)は親が建てた賃貸マンションの空室に悩んでいた。東京・江東区の駅から徒歩5分の便利な立地だが、老朽化から4階建てにもかかわらず入居者は1人だけ。
1階は寿司屋に貸していたが、退去後、ホコリをかぶったまま何年も経つ。2階に母親が、3階にマサヤさん家族が住む。4階は単身者用に4部屋あるが、初老の男性が何十年も前から入居するほかは、空室になっていた。
「空き部屋の活用について調べるうち、興味を持ったのが世界最大の民泊仲介サイト『Airbnb』です」
2015年からAirbnbに4階の空室2室を登録し、宿泊者を募っている。各部屋にトイレと風呂はなく、共同トイレがある。
「お風呂がなくて予約が入るか不安でした。銭湯のチケットをプレゼントしようかどうか悩みました。実際はプレゼントしなかったのですが予約は順調で、日本のローカルな体験ができたと喜ばれています」
現在までに約150組を受け入れ、月10万円の副収入に。旅行者に築地など街を案内して楽しんでいる。
「試しに屋上にテントを張って一泊2000円程で募集したら、予約がぽつぽつ入って驚いています。ユニークな旅をしたい外国人旅行者は意外と多い」
これは外国人旅行者の多い東京だからなのだろうか。次は地方の例を見てみよう。