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中国がトランプ「エルサレム首都認定」をほくそ笑んでいる理由

超大国アメリカは自壊するのか

エルサレム大使館移転法の衝撃

アメリカ時間の12月6日、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定する大統領令に署名した。この唐突な発表は、ある意味、その一週間前に北朝鮮が新型ICBM「火星15」を発射した時以上に、衝撃的な影響を世界中に与えた。

12分あまりの大統領演説の動画を、ホワイトハウスのHPで、改めて見てみた。トランプ大統領は、いつになく厳粛な面持ちで、大略以下のようなことを述べていた。

「私が大統領に就任した時、世界の問題をこれまでにない視点と新しい考え方で見直すと約束した。過去に失敗した戦略を繰り返しても、問題の打開にはならず、新たな取り組みが必要だ。

1995年にアメリカ連邦議会は、エルサレム大使館移転法を制定した。そして連邦政府に対して、アメリカ大使館を(テルアビブから)エルサレムに移転し、エルサレムを首都と認定するよう要請した。この法律には超党派で、多くの議員が賛成しており、半年前には上院でも全会一致で再確認されたばかりだ。

しかし、20年以上にわたって、歴代の大統領はエルサレムの首都認定を延期してきた。それでもイスラエルとパレスチナの和平は維持できていないではないか。そこで同様のやり方は愚かなことと判断し、エルサレムを公式に首都と認定することにした。この行動こそが、アメリカの国益並びにイスラエル、パレスチナの平和への希求に対して、最大限の貢献になると考えたのだ。

イスラエルは主権国家であり、他の主権国家と同様、自国の首都を制定する権利がある。エルサレムには国会や最高裁判所があり、総理や大統領の公邸、中央官庁もある。

エルサレム大使館移転法に基づき、アメリカ大使館をエルサレムに移転するよう、国務省に指示した。まずは設計士や技術者を雇って新たな大使館を竣工することから始める。

この発表に対して、反対者がいることは承知している。だが平和に達するという自信があり、以前の戦争の時代に戻ることはない。

ペンス副大統領が近くこの地域を訪問する。イスラエルとパレスチナ、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒に対し、恒久的な平和への道に参加することを訴えたい」

トランプ大統領は演説を終えると、大仰にペンを掴んで、大統領令に署名した。そして、署名した用紙を、わざわざカメラの前に掲げてみせた。

その映像を見た私は、喩えは悪いが、数年前に見た、IS(イスラム国)の戦士が殺害した捕虜の生首を掲げて見せた映像を想起してしまった。胸元に、見てはいけないものを見てしまったような、重たるい気を催した。

 
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