元マルサが明かす「国税は、ビットコイン投資を狙っている」

仮想通貨による脱税を許すまじ
上田 二郎 プロフィール

仮想通貨に手を出すリスク

企業会計では仮想通貨は資産計上したうえで期末に時価評価し、価格変動にあわせて損益を計上することが決まった(2019年3月期から適用する方針)。また、米シカゴ・オプション取引所は12月10日に、米シカゴ・マーカンタイル取引所も12月18日にビットコイン先物を上場する。先物取引によって価格変動に対するリスクヘッジの体制が整いつつある。

しかし他方で、本家のビットコインは、分裂を繰り返す不穏な動きをみせている。金融庁は仮想通貨を使った資金調達(ICO=イニシャル・オファリング)の利用者や事業者に向け、価格が急変動するリスクをきちんと理解するほか、詐欺まがいの事例が出ていることなどを紹介し、自己責任で取引するよう注意喚起を促す。

また、警察庁は犯罪収益のマネーロンダリング(資金洗浄)や詐欺などの疑いがあるとして、ビットコインなどの仮想通貨交換業者が「疑わしい取引」として届け出たケースが4月からの半年間で170件あったと発表した。

『じっくり聞いタロウ』でのトーク中、「買ってみようかな」と前のめりになる出演者に、名倉さんが「価値が突然0円になってしまうこともある」と、リスクを何度も訴えていたが、筆者も同感だ(収録で同感の意を伝えられなかったのが悔やまれる)。投資目的で仮想通貨に手を出すことにはどうしても抵抗がある。

収録後、新聞紙面に頻繁に踊る「分裂バブル」を読んで、ふと「相場操縦」ではないか? との疑念がよぎった。相場操縦とは、相場を意識的・人為的に変動させたり、あるいは一定水準の価格に固定させたりして、その相場があたかも自然の需給関係を踏まえて成立しているかのように見せかけ、利益を得ようとする行為を指す。

お断りしておくが、私は仮想通貨の専門家ではない。しかしながらマルサ時代に相場操縦の疑いで強制調査を行った経験がある。相場操縦の手法の一つに、株価に一定の影響力を持つ者たちが結託し、互いに売買を繰り返して株価を吊り上げる「馴れ合い取引」がある。

ビットコインも分裂によって多額の利益を得る者たちが主導し、価格を吊り上げているのではないか。つまり、自己売買では価格を吊り上げられないため、分裂によって取引相手を増やす構図ではないのか?

株式相場は証券取引等監視委員会の監視下にあるが、仮想通貨の問題点は監視体制がまだまだ整っていないことだ。そのため、風説の流布(虚偽の情報を流して相場を動かそうとする行為)や見せ玉(大量の発注・取消・訂正をして、取引が活発であるかのように見せかける行為)がまかり通っている。「セグウィット2X」の騒動も風説の流布だったのではないかと思えなくもない。

相場の先高観を煽るように、この先も「ビットコインプラチナ」や「スーパービットコイン」などの分裂も噂されている。

投資は自己責任。

ビットコイン先物の上場によって空売りも仕掛けやすくなり、価格がさらに乱高下するとの声も聞こえる。

『じっくり聞いタロウ』の収録中に偶然出会った仮想通貨だが、テレビメディアで発言できたことに感謝を込め、読者に慎重な判断を促したいと思って、このたび筆を執った。

脱税を巡るスリリングな「実話」が詰まっている