元マルサが明かす「国税は、ビットコイン投資を狙っている」

仮想通貨による脱税を許すまじ
上田 二郎 プロフィール

仮想通貨とは何か

仮想通貨とは、インターネット上にしか存在せず、別名「暗号通貨」とも呼ばれるバーチャルなおカネのことだ。ブロックチェーンと呼ばれる技術が用いられ、誰かが(銀行も含めて)一元管理することなく、世界中の人たちによって管理されている。

一般の小売店などでも使うことができ、円やドルとも交換ができる。ビックカメラやエイチ・アイ・エスなどを始め、ビットコインで支払える店舗は国内で1万店を超え、仮想通貨を決済手段として使いやすくする環境整備が進む。

デジタルマネーはすでにグローバルスタンダードになっていて、今後も様々な分野に普及していくに違いない。

そんな仮想通貨は現在なんと約1000種類も存在し、ビットコインはその代表格だ。最大のメリットは、特定の国に属さない国際通貨のため、海外の送金手数料が激安である(ほとんどかからない)との解説が、松宮さんから続けられる。

海外送金の経験がある人ならわかるだろうが、銀行で10万円を送金しようとすると7000~8000円の手数料がかかる。申込書には送金目的などをこと細かに記入させられ、本人確認も求められるため、嫌がる人たちが地下銀行を使う。

それに対して、ビットコインならネットで簡単に海外送金ができるうえ、手数料も一律0.0004~0.0005BTC(12月7日の円建て計算で約700~875円)程度だ

この話は元国税査察官として絶対に聞き逃せない。「これは脱税に使われると厄介だぞ……」との思いが浮かぶ。現在、海外で展開する脱税を監視する手段の一つに、国外送金等調書があるが、把握できるのは銀行を使った海外との送受金で、一回当たり100万円を超えるものだけだ。

仮想通貨を作った人の目的の中には、「監視されない送金方法」も含まれているのではないだろうか……。

仮想通貨を買い漁る理由

松宮氏の話によれば、ビットコインは技術によって発行枚数(2100万枚)の総量は決まっているため、金(きん)の埋蔵量に上限があるのと同じ理屈で、希少価値によって価格が上がるという。

しかし、この説明には納得できない。金は実物資産だ。現在の紙幣は金と交換できないが、金本位制の時代には金の保有量が紙幣価値を裏付けていた。バーチャル通貨と違って、金には宝飾品などの実需もある。

それでは、なぜ仮想通貨の価値が上がるのだろうか? その原因の一つに、スイスのプライベートバンクが顧客の金融資産情報を開示し始めたことや、パナマ文書などの流出によって、裏金を隠す手段が狭められていることがある。

つまり、資金が流入する背景には世界的なカネ余りがあって、課税当局に把握されたくないカネを持つ人たちが仮想通貨を買い漁っているのだ。

ビットコインの値上がりの背景にあるのが、相次ぐ分裂である。2017年8月、最初の分裂で「ビットコインキャッシュ(BCH)」が誕生し、ビットコインの保有者は同数のBCHを無償で受け取った。

10月には「ビットコインゴールド」が分裂し、11月に「セグウィット2X」の誕生が突然中止になると、今度は11月24日になってビットコインダイヤモンド」の誕生が発表され、相場が乱高下している。

今後も分裂が続くとの期待から投機マネーが流入し、「分裂バブル」の様相を呈している。分裂の理由はマイナー(仮想通貨の採掘者)の覇権争いのようだが、本当の理由を明快に答えることができる人は今のところはいないようだ。