12月6日、東京の株式市場では、日経平均株価が一時、500円以上下落する場面があった。
相場急落の背景には、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに伴う中東地域の懸念があった。
中東の地政学リスクが高まり、投資家のリスク許容度が低下するという見方だ。
その後、欧州時間には引けにかけて株価が戻し、米国ではこのところ軟調に推移していたハイテク株が上昇した。ドルも主要通貨に対して上昇した。
国内市場で指摘されたような懸念は、取り敢えず、海外の投資家には共有されなかった。むしろ、安値で株を買うチャンスと考える投資家もいた。
それだけ、世界経済が好調ということだろう。当面、世界的に株価は上昇トレンドを維持しそうだ。
世界の株式投資家は、日本株を「世界の景気敏感株」と考えている。グローバル経済の減速懸念が高まると、日本の株式市場はそれを敏感に反映して軟調になりやすい。
6日の国内株式市場では、機械関連銘柄の下落率が相対的に大きかった。このセクターの企業は、海外での売上比率が高い。その分、地政学リスクなどの影響は受けやすい。
それに加え、ソニーやパナソニックなど、電気関連セクターの株価下落率も大きかった。
10月以降、国内株式市場が史上初の16連騰を記録し、多くの投資家が先行きへの期待を強めた。
その中、他国と比較しても国内の半導体銘柄などの上昇は顕著だった。
理由は、業績回復にもかかわらず、米国などのハイテク株に比べて出遅れ感があったことだ。外国人投資家がそれに注目して買いを入れ、買いが買いを呼んだ。
年末を控える中、彼らの多くが利益の確定に動いている。
想定以上に株価が上昇した銘柄が多く、電機関連を中心に持ち高(ポジション)を削減する投資家は多い。
その分、国内株への売りが出やすい状況なのである。投資家の行動が地政学リスクと重なり、6日の相場急落が起きた。中東情勢への懸念だけが急落の理由ではない。
為替相場では、地政学リスクへの懸念が指摘された割には円高が進まなかった。
ここからも、地政学リスクが投資家のリスク許容度を圧迫したとは言いづらい。
同日の米国市場では、11月下旬以降に下落してきたハイテク銘柄が買い戻されるなど、安値を拾う動きも散見されている。
先行きを楽観する投資家は多い。