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老後に一体お金はいくら必要か?この公式で一目で分かる

提供:「#老後を変える」編集部(メットライフ生命)

老後にお金はいくら必要なのか。考えたことがない、という人が一番危ない。でも、いったいどうやって考えればいいのか……。そんな人にぜひ知ってほしいのが、経済評論家の山崎元氏らが考案した「老後資金の方程式」だ。

これを使えば、老後を安心して送るには、いま、いくらまで使えて、いくら貯蓄すればいいのか、が見えてくる。山崎元氏の解説とともに、その式をみてみよう。

老後のお金に心配してしまう根本理由

老後不安には、健康、人間関係などの問題もあろうが、お金の心配は中でも大きな問題だ。

将来は不確実なのだから、少々の不安を持つくらいの方が人間として普通だと思うが、老後のお金について多くの人が過剰に心配になる理由が二つある。

一つは、お金について自分で計算してみないからだ。お金についてどのように処置すると、将来幾ら使えるのかが分かると、心配は大幅に減少する。

もう一つの問題は、「平均」で考えようとするからだ。

例えば「余裕のある老後には毎月35万円あるといいと言われており、平均寿命で計算すると、○○○○万円必要だ…」という手合いの考え方だ。数字の根拠には、生命保険文化センターのアンケート結果が使われることが多いが、言うまでもなく人には個人差がある。

「平均」によって求めた金額が達成できそうにない人もいれば、「平均」では全く足りない生活の人もいる。自分と平均との間にズレがある可能性を人は感じるからで、貧しい人ばかりでなく、豊かな人も「平均」の数字を聞いても安心できない。

老後のお金の問題は、個人個人の事情に即して、具体的に考えねばならない。そして、お金の問題は、(1)よく稼ぎ、(2)計画的に貯蓄し、(3)資産を正しく運用して、(4)資産を計画的に取り崩す、という4つのステップを実行することで「その人なりに」解決できる。本稿では、そのための一般的な方法をご説明しよう。

まず老後を見据えたキャリアプランをイメージする

お金を直接扱う、貯蓄や運用の問題に入る前に、老後も視野に入れたキャリア・プランニングについて、触れておく。言うまでもなく、一般の人にとっては、どのように稼ぐかが、人生の経済的な豊かさにとって最も重要な問題だ。

図1は、主に会社・官庁などの組織で働く人にとってのキャリア・プランニングにあって典型的だと筆者が考えるパターンを示したものだ。

「人生100年時代」とも言われる今日のプランニングを考える上で重要な年齢が3つある。それは、「28歳」、「35歳」、「45歳」だ

先ず、自分の「適職」を見付けるひとつの期限が28歳だ。もちろん理由はある。ビジネスパーソンの能力的全盛期は30代前半だ。この年齢になるまでに仕事をしっかりと覚える必要があるが、2年の集中的努力で新しい仕事を覚えられると仮定すれば、30歳マイナス2歳で、28歳までに「自分の適職」を見つけることが重要となるのだ。

次に、30代前半に働いた実績で「人材価値」(組織内の評価も、転職できるような価値も)を確立する目処が35歳だ。ファースト・キャリア段階での人物評価は、一般的にはこのくらいの年齢で定まる。評価が、出世などの形に表れるのはもっと先かもしれないが、人材としての価値評価は大凡もう決まっているものだ。

この段階で人材価値を確立していると、組織内での出世も見込めるし、その後も、悪くない条件で転職が出来るだろう。

45歳がとても重要な理由

そして、概ね60歳以降にどう働きどう稼ぐかという「セカンド・キャリア」について考え始めるべき年齢が45歳だ。そしてセカンド・キャリアを考える際には、将来の「能力」と「顧客」の両方で目処を立てることが必要だ。

新しい仕事をするためには、新しい仕事に必要な知識や資格がいるかもしれないし、ファースト・キャリアの仕事の延長で働くとしても、自分のスキルの再教育・再強化が必要なはずだ。加えて、将来雇ってくれる組織か、あるいは独立する場合に顧客になってくれる人脈が必要だ。いずれにもそれなりに長い準備期間がいるだろう。だから、45歳はセカンド・キャリアを考えるうえで決して早すぎる年齢ではない。

さて、長寿化社会にあっては、75歳くらいまで元気で働ける人生を目指したい。

(ちなみに筆者がセカンド・キャリアについて考え始めたのは、42歳の時だった。会社勤めを続けながら、給与水準を落とす代わりに勤務時間と副業を自由にできるようにしてもらい、片足をサラリーマンの立場に乗せつつ、リスクを制限しながら、経済評論家の仕事を伸ばし、将来の働き場所とするための小さな会社を作った。)

いかにも勇気のない方法だが、いきなり独立・起業するのはリスクが大きいと思われる読者のご参考になる点があるかと思う。

なお、「長生きすることのリスク」に対処する上で、終身で支給される公的年金は強力な手段だ。通常65歳に開始する受給を70歳まで繰り下げると、年金額(基礎年金+老齢厚生年金)を42%増やすことが出来る。公的年金の繰り下げ受給は、82歳以上生きると得になる計算だが、経済的な「長生きリスク」に対処するための有力な手段なので、多くの人に「受給繰り下げ」をお勧めする。

これが人生設計の基本公式だ

次に、個々人の多様性を前提とした上で、一般的なお金の扱い方を考えよう。

まずは、現役時代の「稼ぎ」を「今の消費」と「将来の消費(のための備え)」に適切に振り分けることが大事だ。それを知るために有効なのが、図2に示した、「人生設計の基本公式」だ。

大げさな名前の式だが、「現役時代の支出に対してx倍の支出(例えば0.7倍)を老後に行いたい場合、現役時代の可処分所得(y)に対していくらの比率(s)で貯蓄しなければならないか」を求めるものだ(さらに簡潔に言えば、将来これだけ使うためには、いまの給料のうちいくらまで使えて、いくら貯蓄すべきか、を示すものだ)。

家計は、将来に必要な貯蓄率(額)を達成できているなら、概ね順調だと考えていいだろう。もちろん、家計には工夫の余地が多々あろうし、備えは厚い方がいいのだが、細かなことにこだわるよりは、「今使ってもいい額」と「将来のためにまわす額」を大まかに押さえて、将来のためにまわす額が確実に(通常はいわゆる「天引き」で)貯蓄できていれば問題ない。

例えば、現在45歳で、65歳まであと20年間(a)働くつもりの人がいて、今後の手取り所得の平均が年600万円(Y)だとしよう。この人が、現在、1500万円(A)の貯金を持っていて、将来、年間180万円(P)の年金を見込む場合、老後に、現役時代の支出の0.7倍(x)で95歳までの30年間(b)の老後を暮らそうとすると、必要貯蓄率は幾らになるだろうか。

紙と電卓(スマホでも)があれば簡単に計算できるが、ファイナンシャル・プランナーの岩城みずほ氏(この公式の共同開発者で、名付け親でもある)が作った計算用のサイトもあるのでこれを利用されてもいい。

https://www.officebenefit.com/calculate/index.html

先の45歳の人の例では、必要貯蓄率は23.17%となる。つまり、月間50万円の手取り収入のうち、支出は約38万4千円まで可能で、約11万6千円を貯蓄に振り分ければ、この人は、老後月々約26.9万円(38万4千円の70%だ)で暮らせるという計算だ(この人の場合、月11万6000円貯めれば、一定程度安心した老後を送れる、ということだ)。

ところで、手取りのうち23.17%を貯蓄にまわすことは、不可能ではないが、普通の人にとっては「なかなか大変」だ。

肝心なことは、この段階で諦めてしまわずに、実際に貯蓄できる額が定まるまで、あれこれと条件を変えてみることだ。

例えば、70歳まで働くことにしてみる。そうすると、現役年数が5年伸ば、老後年数が5年縮まる。結果、必要貯蓄率は17.65%まで下がり、かなり実行しやすい数字になる。

さらにこの状態で、確実に貰える退職金が1500万円ある、と見込むことが出来るとどうなるか。この数字を、資産額に足し込んで、現在資産額を3000万円(A)として計算して見ると、必要貯蓄率は11.76%まで下がる。となれば、月々約5万9000円(手取り50万円×11.76)貯蓄すればよいことになるのだ。

因みに、この1500万円は、退職金の代わりに「妻がパートで年間100万円、15年間働く」といった形で作ってもいい。

このように何度か試行錯誤を繰り返して計算しながら、お金に関する人生の「計画」を立てるところに、この式の使い途がある。

なお、この式には「利回り」が無いことをご不満に思う読者がいるかも知れない。実は、筆者も証券マンの端くれなので、運用利回りを前提とする計算式を作ってみた。

すると、確かに運用資産にプラスの利回りを設定すると必要貯蓄率が下がるのだが、「将来が不確実であやふやな運用利回りを前提にして貯蓄を小さく見積もるのは、人生に対する計画的アプローチとして不適当だ」と考えて、あえて利回りを前提しないことにした。だから、運用で利益が出た場合は(損が出た場合もだが)、これを現在資産額(A)に反映させて、必要貯蓄率を計算し直して貰いたい。

(なお、資産の運用は基本的にそう難しい話ではないのだが、紙幅の関係もあり別の機会にご説明したい)

取り崩しの考え方

さて、現役時代に貯蓄と運用を行い、仕事から引退する「老後」を迎えたとしよう。この次に問題となるのは、保有する資産をどのようなペースで取り崩すかだ。老後の資産取り崩しも、支出額がなだらかに平準化された状態を標準として、ほどほどの余裕を持った計画的に沿って行う事が適切だ。

そこで、ふたたび「式」の登場だ。保有資産をどれぐらいまで取り崩すことができるのか、それを計算するための「老後設計の基本公式」をここに紹介する。

こちらは「人生設計の基本公式」よりも単純で分かりやすいので、ぜひ式の内容をじっくり見て頂きたい。

計画としては、介護施設への入居費やどうしても持っておきたい備えの額など、最晩年時点での最終資産額(H)と想定余命(n)に余裕を持たせて計算して頂きたい。

先に、公的年金の受給開始を70歳まで繰り下げることをお勧めしたが、繰り下げをするかしないかはともかくとして、終身まで続く年金額に加えて、資産から取り崩して支出に加えることが出来る金額(d)に注目した計算だ。

保有資産額(A)に、年金受給開始までに不足する額(p×a)、老後にも稼ぐ金額(w×b)を加味して、継続的に取り崩すことが出来る金額(d)を計算した。

老後のお金の扱い方の一般手順

老後のお金の処置に関する一般的な手順は以下の通りだ。

➀先ず、年金額(p)を確認する(主に年金定期便で)。この際、公的年金の受給開始は繰り下げ受給(70歳開始)を推奨する。「長生きへの保険」の効果を重視するということだ。

②最晩年に必要な資産額(H)を検討する。介護施設の入居費、遺族にどうしても残したい遺産等を見積もる。また、想定余命(n)も、少し余裕を持って見積もるべきだ。

③「老後設計の基本公式」で取崩可能額(d)を計算し、年間支出額(y)、月間支出額(yM)を計算し、この範囲で計画的に生活する

④支出額が足りない場合、働き方と年収(w)・働く年数(b)を考える。配偶者の働き等の収入もカウントしていい。長寿化に対応するには、何と言っても「長く働く」ことが重要だ。

⑤資産(A)ではリスクを取って運用していい。リスク額の上限は、年間損失許容額(⊿d)×n×3が目処となる。損失許容額(⊿d)は個々の事情によって変化する。一概に、高齢化=リスク縮小、ではない。

⑥毎年条件の変化(資産運用による資産額(A)の変化など)を反映して、取崩可能額(d)、支出額(y、yM)を計算しよう。計画を毎年見直して修正することが大事だ。例えば、節約で取崩額を減らしたり、貯蓄できたりする場合は、翌年の資産額が増える。

大凡の手順は上記の通りだ。将来を細々とではなくザックリと想定して、いわば「骨太に」計画することが大事だ。

その際に、あやふやな運用益を事前にアテにしない方がいい。運用の損益(評価益で可)は後から随時計画に反映するといい。

「老後設計の基本公式」にあっても、「人生設計の基本公式」と同様に、現実的な解が出るまで条件を変えて計算することが大切だ。そして、資産の運用で大きな損益があった場合など前提条件が大きく変わった場合は、計算し直すことが大切だ。

以上、些か大雑把な一般論であったが、老後を見据えたお金の扱い方に関する「枠組み」を提示してみた。本稿が、読者の老後のお金の心配を減らし、現実によりよい老後の実現に役立つと幸いだ。

人生には、お金以上に大切な問題が多々ある。読者には、お金の問題を必要以上に心配せず、「いい人生」を送って頂きたい。

山崎元(やまざき はじめ)1958年北海道生まれ。経済評論家。81年東京大学経済学部卒業後、三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員。投資と投資教育のコンサルタント会社、マイベンチマーク代表取締役も務める。