ADHDを「グルテンフリー」で克服した子供たちの話

まさか、と思うならば…
デイビッド・パールマター プロフィール

KMというかわいらしい9歳の女の子が、両親に連れられてやってきた。ADHDの典型的な兆候と「記憶力の悪さ」のためだった。

これまでのKMの経緯を聞く中で興味深かったのは、両親の説明によると、娘が考えたり集中できなかったりするのは「何日か続き」、その後は数日間「調子がいい」ということだった。

調べた結果、KMの問題として考えられることが二つ見つかった。グルテン過敏症と血中のDHA値が標準よりも低いことだ。

そこで私は厳重なグルテンフリーの食事と一日400ミリグラムのDHAの補給を指示し、人工甘味料のアスパルテームを口にしないように指示した。KM は一日にダイエットソーダを数本飲んでいると聞いたからだ。

3ヵ月後に会ったとき、KM の両親は娘の変化に感動し、KM 本人も満面の笑みを浮かべていた。新たに学力検査をしてみると、小学校3年生のKMの計算能力は5年生の初期レベルであり、学力全般としては4年生の中位レベルだった。KMの母親から受け取った手紙を引用する。

「娘は今年3年生を終えました。食事にグルテンが含まれていたときは勉強、とくに算数が苦手でした。おかげさまで、娘はいま算数が得意になっています。学校の先生は、4年生を飛ばして5年生に進んでもクラスの中位くらいに入るだろうと言っています」

KMちゃんはグルテン食品を多く食べていた上に、人工甘味料の多いソーダを毎日3本飲んでいたPhoto by iStock

このような話は私のまわりではよくあることだ。

私にとってはごく当たり前に感いるある研究成果が、2006年に発表された。ADHDをわずらい、6カ月グルテンフリーを続けた人たちの「実施前」と「実施後」についての非常に重要な調査である。この研究は3歳から57歳までにわたる広範囲の人たちを調べたものだ。6カ月後、改善度は明白だった。
 
「細かい点に注意しない」は36パーセント減った。

「注意力を保てない」は12パーセント減った。

「仕事を終えられない」は30パーセント減った。

「簡単に気が散る」は46パーセント減った。

「答えや引用文を唐突に言いだすことが多い」は11パーセント減った。

 

より多くの人たちに、もっと健康で、もっと頭のよくなるために、グルテンフリーの食事を実践してもらうこと──それが私の願いだ。

グルテンフリーの食事療法だけを通じて、神経系の病気を治せる、もしくは軽くできることがあるという事実は、とてもいいニュースだ。

多くの人はすぐに薬に頼ってしまい、まったくお金をかけずに生活習慣を少し変更すればいいだけの治療法に気づかない。ごく短期間、心理療法、あるいは追加的な薬物療法が必要な患者もいるかもしれない。しかし、多くの人は食品を替えるだけで問題は解決できる。最終的には薬を断ち、薬と縁のない生活がもたらす喜びを感じてもらいたいのだ。

グルテンを除外し、炭水化物を極力減らすことができれば、素晴らしい結果が得られるだろう。ほんの数週間で気分が向上するのに加えて、体重が減少し、エネルギーが高まる。脳の機能が高まるように、体の生来の治癒機能もさらに向上するだろう。

炭水化物の摂取を本当に必要な量だけに限定し、おいしい脂肪とタンパク質で穴埋めできれば、文字どおり、遺伝子のプログラムを組み直し、生まれたときに持っていた自然の状態に体をリセットできる

これこそ、あなたにとって「頭の回転がよく、脂肪も燃やせる」状態なのだ。

食べるもので脳の運命が変えられる、薬に頼らない簡単な処方箋で健康を取り戻せる可能性があるというパールマター氏の提案は、非常に興味深い。

デイビッド・パールマター (David Perlmutter, MD)
神経科医。米国栄養学会会員。米国栄養学会の「年間最優秀ヒューマニタリアン賞」や神経変性疾患の先駆的研究に対する「ライナス・ポーリング賞」をはじめ、数々の賞を受賞。医学関係のさまざまな出版物に著作を発表し、世界各地で公演を行っている。炭水化物と糖質が人間の脳に及ぼす悪影響について、新たな見解を述べた本書は、全世界で驚きをもって読まれ、次々とベストセラー入りを果たした。テレビの健康情報番組『ザ・ドクターズ・オズ・ショー』の医学顧問委員を務め、CNNやFOXなど、アメリカの全国ネットのテレビに出演歴多数。現在妻と二人の子供とともに、フロリダ州在住。
https://www.drperlmutter.com/
 
 
30年間のエビデンスをもとに、グルテンとは何か、脳にどのように影響するのか、どのような食事がよいのかを細かく説明。グルテンだけが悪いなのではなく、「コレステロール値の低いものがよい」「動物性脂肪が多い食事で動脈が詰まる」といったような「間違った定説」にも警鐘を鳴らす。

(記事構成/長谷川あや 原書本文構成/クリスティン・ロバーグ(Kristin Loberg)日本語版単行本翻訳/白澤卓二)