ADHDを「グルテンフリー」で克服した子供たちの話

まさか、と思うならば…
デイビッド・パールマター プロフィール

その2年半後、私は母親から手紙を受け取ったが、その中で彼女はこう語っている。

「Sは学校では読書や算数に優れていますし、活発さ過剰であることはもはや問題にはならないと思っています」

最初にS君がされたように、ADHDは小児科医が頻繁に下す診断の一つだ。

医学的に薬物治療が確立されているために、親たちはその治療法がもっとも「手早い修正」だと思い込まされている。ADHDは薬物で簡単に治療できる特定の疾患であるという考え方自体は都合がいいが、米国では、気分を大きく変える効果のある薬物治療を何と生徒の25パーセントが定期的に受けているという学校があちこちにある。しかし、その治療の長期的影響はまったく研究されていないのだ。

2013年3月に米疾病予防管理センター(CDC)から発表されたデータによると、米国におけるハイスクール年齢の男子のおよそ5人に1人、および学齢期の子供全体の11パーセントはADHDだと診断されている

 

そもそもグルテンフリーとは

そもそもグルテンとは「膠(にかわ)」を意味するラテン語で、タンパク質の混合物だ。粘着性のある物質として作用し、クラッカーや焼き菓子、ピザ生地などのパン製品をつくるときに粉をまとめる。

グルテンは発酵の過程で重要な役割を担っていて、小麦粉がイーストを混ざるとパンが膨らむ。

ふわふわのマフィンにかぶりつくとき、あるいは、ピザ生地を焼く前に丸めたり延ばしたりするとき、それができるのはグルテンのおかげだ。実は、今日食べられている、柔らかいけれど、噛みごたえのあるパン製品のほとんどについて、その粘着性はグルテンのおかげなのだ。

ピザのモチモチもマフィンのふわふわもグルテンのおかげだ Photo by iStock

多くのアメリカ人は小麦からこのグルテンを消費している。また、地球上でもっともありふれた添加物の一つでもあり、加工食品だけではなく、さまざまな製品にも使われている。

グルテンはまさかと思うところに潜んでいるものだ。調味料やカクテル、さらには化粧品、ハンドクリーム、アイスクリームにも入っている。スープや甘味料、大豆製品にも隠れている。栄養機能食品、よく知られている調合薬にも入っている。

どんなタンパク質でもアレルギーを引き起こすことがあるように、グルテンもアレルギー反応を生む可能性がある。

いまや、グルテン過敏症と、何千年にもわたって医者たちにも理解不能だった脳疾患(統合失調症、癇癪、双極性障害、うつ病、さらに最近の自閉症やADHDなど)との結びつきは証明されている。これは問題なくグルテンを消化できる人や、グルテン過敏症の検査で陰性だった人にさえ当てはまる。

脳疾患も含めてすべての変性疾患を引き起こすのが「炎症」であることは、研究者たちにはかなり前から知られていた。そして研究者たちは、グルテン、さらに言えば高炭水化物の食事が脳に達する炎症反応の原因になっていることを見出しつつある。

炎症は必ずしも悪い反応ではない。体にとって有害であろうと思われるものに対する自己防衛を試みていることを示すという役目もあるのだ。

しかし、この炎症がコントロールできなくなると問題が持ち上がる。

炎症はそもそも比較的短い日数で治るものだ。ところが、この続くはずのないものが、いまや何百万人もの人たちにおいて続いているのである。

炎症が本来の目的から逸脱すると、さまざまな化学物質がつくられ、それらが細胞にとっては直接的に有毒になる。これによって、細胞の機能が低下し、やがて細胞は破壊される。抑えのきかない炎症は、冠状動脈疾患(心臓発作)、がん、糖尿病、アルツハイマー病、それに実質上、思い浮かぶかぎりすべての慢性疾患に伴う病的な状態、あるいは死の根本的原因であることがわかっている。