NHK「受信料支払い拒否裁判」は時代錯誤も甚だしい

何のために地デジにしたのか…

あまり知られていないことだが、すでにNHKは、「パソコンや携帯電話も受信料請求の対象」とする見解を示している。そのうち、通信キャリアや家電量販店、パソコン販売業者などに、「機器購入時の受信契約の代行」を依頼することを許可する条項が、放送法に追加されるかもしれない。

そうなれば、たとえ「NHKなんて見ていない」といくら主張しようと、パソコンやスマホ、タブレット、カーナビなどを購入した・所有しているというだけで、NHK受信料の支払い義務が発生することになる。むろん裁判に持ち込む手はあるが、今回の判決が前例となる以上、利用者の側に勝ち目はない。

 

「知る権利」を再定義しよう

放送法は国民の「知る権利」を担保するものだ、と最高裁はいう。その健全性を維持するために、利益の享受者=国民が均等に負担するコストがNHKの受信料なのだから、受信料を払うことが義務づけられるのは当然という考え方だ。

つまりNHKの受信料は、ほとんど税金に準じる扱いを受けているのである。

NHKの会長人事や予算編成は国会審議にかけられる。しかし、それらを協議する経営委員会の委員の任命権は総理大臣にある。「公共放送」の名のもとで官製の情報が一方的に流され、政府に都合の悪い情報が後方に追いやられるとすれば、「知る権利」という錦の御旗にも疑問符がつく。

NetflixやHulu などを除く既存の動画配信サービスの多くは、コマーシャルで成り立っている民放と同じく、広告を主な収入源としていて視聴者に受信料を求めない。

こうした動画サービスと、旧来のワンウェイ型の放送の決定的な違いは、匿名のユーザーが自由に見たいものを選択し、コンテンツを発信したりコメントを書き込める点であることは言うまでもない。まさにそうした仕組みが、新しい形の「知る権利」、「知らせる権利」を保証していると捉えることもできる。

高齢者はともかく、長年にわたり「テレビ離れ」が指摘されている若年層は、横並びで押し付けられる情報ではなく、個人的に共感できる等身大の情報を求めている。

最高裁大法廷には、このような変遷と将来のテレビのあり方まで視野に入れて、デジタル時代への対応を促す文言を盛り込んでほしかったが、それは高望みというものなのだろう。