Photo by iStock

がんと闘った平尾誠二と山中伸弥の『友情』「私はここで泣いた」

15万部突破。なにが惹きつけるのか

40代半ばで出会ったミスター・ラグビーとノーベル賞医師の間には、命を懸けた信頼関係があった。「涙なしには読めない」――二人のがんとの闘いを綴った『友情』を読んだ有名人から届いた声を紹介する。

「これが本当の友達だな」

ドラマ『スクール☆ウォーズ』('84年・TBS系)で主演を務めた俳優の山下真司氏は『友情』を読んだ感想をこう語る。

「もう途中から涙が止まりませんでした。ドラマのなかで、イソップが脳腫瘍に侵されます。そこで自分が演じた監督・滝沢賢治の『生きるということは、最後まで諦めないことだ』と諭すシーンが蘇ってきました。

たとえが適切かわかりませんが、平尾さんと山中先生の闘いは大人版の『スクール☆ウォーズ』のように思えました。本当の男同士の友情、魂の絆、そして人間愛を改めて感じました」

『スクール☆ウォーズ』は、京都市立伏見工業高校のラグビー部とその監督の山口良治の実話をもとにした学園ドラマである。

ドラマ内で人気となった平山誠のモデルとなったのが平尾誠二さんだった。平尾さんはその後、同志社大学や神戸製鋼を次々と日本一に導き「ミスター・ラグビー」と呼ばれた。

そんな平尾さんが胆管がんにより、53歳という若さで亡くなったのは2016年10月のこと。

その闘病をそばで支えたのが、ノーベル賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(55歳)だった。

先ごろ、平尾さんとその妻の惠子さん、そして山中氏の3人の共著である『友情――平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』が刊行された。同書は現在15万部を超え、読者からの感動の声が日本中にひろがっている。

 

平尾さんと山中氏の出会いは2010年9月。本誌誌上での対談がきっかけだった。神戸大学時代に3年間、医学部のラグビー部に所属していた山中氏は、高校生のころから平尾さんの大ファンだったという。

同学年でもあった二人はすぐに意気投合。家族ぐるみの付き合いが始まった。一緒にゴルフに行った際、平尾さんとパスを交換したときの思い出を山中氏は「夢見心地だった」と語っている。

これからもっといろいろなことが一緒にできると思っていた……。だが、二人の付き合いは、わずか6年で終わってしまう。

2015年の9月、平尾さんから胆管がんであることを告げられた山中氏は、その晩、家族に気づかれないよう風呂場でシャワーを流しながら、声を上げて泣いた。

「僕が絶対に平尾誠二を助ける」――。

それから二人のがんとの闘いが始まった。

俳優の小西博之氏は、『友情』に特別な思いを寄せる一人だ。小西氏は'04年に腎臓がんを発症。医師から「余命0日」と言われたが、奇跡の回復を遂げた。

「この本を読んで山中先生が大学時代にラグビーをしていたことを初めて知ったのですが、僕も30代のころドラマの縁でTBSのラグビー部に所属し、3年間ラグビーをしていました。

僕は大学までずっと野球をしてきたのですが、ラグビーは野球以上に仲間とのつながりが強いスポーツだと感じました。仲間のために自分が犠牲になり、前に進む。

仲間を信頼しないとラグビーはできません。二人はまさに掛け替えのないチームメイトとして、がんという病気に立ち向かっていました。

特に山中先生が前に出過ぎず、ちょっと後ろに控えながら、平尾さんのために懸命に動いている姿には『ああこれが本当の友達だな』と感じました。

ラグビーにたとえるなら、平尾さんの横にいて『いつでもボール出してこい。俺が絶対につなぐから。大丈夫やから』とバックアップしてくれている。素晴らしい友人関係です」