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北朝鮮の幹部が明かす「米朝戦争のタイミングと、回避の方法」

「トランプはなぜ我が国にこないのか」

トランプに見せつける

約2ヵ月半の沈黙を破って、北朝鮮が再び吠えたのは11月29日の深夜3時18分頃。平安南道平城から、日本海へ向けて新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した。

ミサイルは、通常より高く打ち上げるロフテッド方式で、過去最高の4475kmまで上がり、発射から53分後に、青森県の西方約250kmの日本のEEZ(排他的経済水域)に落下した。通常射程であれば、アメリカ全土をカバーする1万3000kmに達する。

朝鮮中央テレビは現地時間の同日正午に、「重大報道」を行った。

〈新たに開発された大陸間弾道ロケット「火星15」の発射実験が、成功裏に行われた。「火星15」の兵器体系は、アメリカ本土全域を打撃することができる超大型重量級核弾頭の装着が可能な大陸間弾道ロケットである。

金正恩同志は、新型大陸間弾道ロケットの成功裏の発射を見守りながら、本日ついに国家の核武力の完成の歴史的大業、ロケット強国の偉業が実現したと、誇り高く宣布した……〉

 

一方、安倍晋三首相は、29日朝にトランプ大統領と電話協議。「日米で主導して、国際社会と連携しながら、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくという認識で一致した」と、厳しい表情で述べた。

北朝鮮はなぜ再び、世界を敵に回す暴挙に出たのか?金正恩委員長は、本気でアメリカと一戦交える覚悟なのか?

8月と9月に続き、中国を経由する形で、信頼できる人物に託して、平壌の朝鮮労働党幹部の話を聞いた。以下は、一問一答である。

――ICBM発射実験の目的は何なのか?

「目的はただ一つ、トランプにわれわれの実力を見せつけることだ。トランプは恥知らずにも、(11月5日から10日まで)日本、韓国、中国を巡り、わが国への悪辣な非難を吹聴して回った。共和国(北朝鮮)は、そのような脅しには断じて屈しないと、トランプに見せつけてやるということだ」

――今後も、核やミサイルの実験を続けるつもりなのか?

「それは、トランプの態度次第だ。トランプが強硬な態度に出るのなら、直ちに7回目の核実験を行う。それによって、アメリカ本土全域を攻撃できる超大型級の核弾頭が完成したことを、最終的に見せつけるのだ」

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――これまで6回の核実験を行った咸鏡北道豊渓里は、9月3日の核実験によって大規模な崩落事故が起き、200人あまりが死亡したと報じられた。そんな状況下で、7度目の核実験は可能なのか?

「豊渓里の実験場は広大だ。それに、核実験を行えるのは、豊渓里ばかりではない。
わが国には、核実験に適した場所が他にもあるのだ。それ以上は言えない」

――7度目の核実験は、いつ頃、強行するつもりなのか?

「すべては、元帥様(金正恩委員長)の御心次第だ。トランプが、わが国と真摯に交渉する態度を見せないのであれば、12月中にも決断を下されるだろう」

――ミサイル実験や核実験を繰り返せば、国連安保理はもとより、アメリカ、中国、日本など各国の経済制裁もますます強まる。実際、今年1年を見ても、北朝鮮包囲網はかなり強化された。

そうした結果、遠からず金正恩政権は破滅に至るだろう。それを分かっていながら、なぜ核やミサイル実験を止めないのか?

「もちろん、そのような外部の理屈は、百も承知だ。

事実、わが国は現在、『苦難の行軍』('90年代半ばに200万人前後が餓死したと言われる3年飢饉)の再来とも言える、厳しい状況に直面している。

勤労者への給与は、全国の職場で慢性的な遅配が続き、中朝国境に近い北部では、凍死者や餓死者が続出。その波はいよいよ、革命の首都・平壌にも迫ってきている。街では、落ちたトウモロコシを拾って食べている子供を見かけるほどだ。

そんな中、国民は、『もう我慢の限界だ』『一度でいいから腹一杯になりたい』『もはや戦争しか打開の道はない』といった雰囲気になってきている。元帥様も当然、そうした様子は察知しておられるだろう。

そのため、『貧しいから(北朝鮮が)白旗を揚げる』という考えは、完全に誤っている。むしろ貧しくなればなるほど、われわれは戦争の道を選択するだろう」