東急田園都市線の人身事故が減った「ある理由」

「街エコ」の立場から考察する
安達 誠司 プロフィール

通勤電車の遅延について

筆者は日本で最も熾烈な通勤ラッシュとなる東急田園都市線の沿線に住んでいる。この線は、周辺住民の間では、よく遅延する電車として昔から有名であった。現に、今でもほぼ毎日10分から15分程度の遅れは当たりで、「今日は遅延しなかったな」とうれしくなるくらいである。

かつて関西で、分刻みの運行スケジュールを遵守するあまり、強迫観念にかられた運転手が焦ってスピードを出しすぎて脱線、通勤客を中心に多くの犠牲者を出すという痛ましい事故が起きたが、遅延が常態化した電車で通勤する筆者は、運行スケジュールにそこまでこだわる路線もあるのかと不思議な気分になったものだ(もっとも事故を起こすよりは多少遅れたほうがまだマシだが)。

そして、つい先日、田園都市線の連日の運転見合わせ事故が全国ネットのニュースでついに取り上げられた。筆者の実家のある九州の友人などからは、「お前が毎日乗っている通勤電車ってしょっちゅう止まるんだ、大変だなぁ」とそのとき初めて同情された。

ところで、ニュースで話題になったのは、停電や車両故障といった設備の老朽化が遠因と思われる事態で電車の運行停止が頻発しているということであった。これも問題といえば問題だが、沿線に20年弱住んでいる筆者にとって、設備の老朽化による遅延というのは、むしろ「平和な出来事」と感じられた。

そこで、今回は、「街角エコノミスト(街エコ)」の立場から、この点について考えてみることにした。

〔PHOTO〕iStock
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