『逃げ恥』が放送から1年経っても高学歴女子にグサグサ刺さるワケ

それほど鋭い「批評」だった
佐藤 優 プロフィール

単純作業しか要求されない契約社員で、大学院卒を吹聴すると敬遠されるという常識がみくりには備わっていない。

今後もまともな就職は無理という判断から父親に紹介された平匡の有償家事代行をした機会を利用し、みくりは思わず平匡に契約結婚を申し出る。平匡はさまざまな積算をし、月19万4000円の賃金でみくりを雇うことにする。

紆余曲折があるが、みくりと平匡の契約結婚はいつしか愛に変化していく。リストラを告げられたのをきっかけに平匡は高級フレンチレストランにみくりを誘いプロポーズする。

〈津崎「つまり結婚した方が、お互いにとって有意義であるという結論に達しました。つきましては―」

みくり「待ってください!」

津崎「!」

みくり「家とか子供とかそういう未来予想図に行く前に、どうして、籍を入れようと思ったんですか?」

津崎「……」

みくり「きっかけです」

津崎「きっかけは……リストラで」

みくり「リストラ!?」(中略)

津崎「だけでなく、結婚が、最も合理的だと」

みくり「結婚すれば給料を払わずに私をタダで使えるから、合理的。そういうことですよね?」

津崎「そういうことに?」

みくり「なってます!」

 

津崎「みくりさんは、僕と結婚したくはないということでしょうか?」

みくり「!」

津崎「僕のことが、好きではないということですか?」

みくり「それは、好きの搾取です!」

津崎「……!」

みくり「好きならば、愛があるなら何だってできるだろうって、そんなことでいいんでしょうか?」

津崎「……!!」

みくり「わたくし森山みくりは、愛情の搾取に、断固として、反対します!」〉

既に平匡とみくりは同衾し、男と女の関係になり、2人とも愛し合っているのだが、どうしても価値観が合致しない。

ラブコメディの中に、結婚とは「愛情」という口実で男が女を搾取するシステムではないかというフェミニズムの観点から異議申し立てがなされている。

『週刊現代』2017年12月16日号より