店内にインスタ映えスポット満載の韓国アパレル
『ViVi』の岩田編集長によると、韓国好き女子の共通点は、「常に最新のネタをキャッチアップしている好奇心の強さと、ミーハーさ」。
『ViVi』がホームページで連載している『今日のインスタ映えヘアメイク』では、「白くてつるんとキメ細やか♡韓国女子みたいな陶器肌はミルフィーユ塗りで作る!」という記事のモデルとして貴子さんが登場。
韓国人になりたい女子の心をつかむ記事は、いまや10代~20代をターゲットにしたファッション雑誌における、一つのトレンドだ。
例えば、かつて「外国人顔メイク」や「ハーフ人顔メイク」で人気を博した『S Cawaii!』(主婦の友社)は、今年10月号でK-POPガールズグループBLACKPINKを表紙に、「美容大国のホンキ! 韓国ガールは自分盛りの天才!」を大特集。「イイとこどり♡な韓国ファッションNEWS」「韓国アイドルのあの脚、コーデでどうにか作れない⁉ “あと10cm”足が長くなるコーデ術」など、30ページ以上にわたり「韓国人になれるコツ」を伝授した。
新世代GALのためのファッション誌『JELLY』(ぶんか社)も、昨年9月号で「今オシャレなコが注目している!“韓国っぽスタイル”をはじめよう!」を企画。丸つばキャップやテニススカートなど「韓国っぽスタイルになれるアイテム」を紹介した。
12月5日現在、インスタグラムの「#韓国人になりたい」は、投稿数7105件と、最初に調べた6月から1000件以上増えている。「#アメリカ人になりたい」は現在246件で、20件しか伸びていないのと比べるまでもなく、「#韓国人になりたい」女子は、いま爆発的に増加している。
そんな韓国人になりたい子たちの新たな聖地となっているのが、原宿・竹下通りだ。
11月末の祝日、明治通り沿い寄りにあるコーラルピンクが強烈な存在感を放つ「スタイルナンダ(STYLENANDA)」のショップを訪れた。洋服やコスメを買ったショッピングバッグを持った女子でごった返す中、2階の一角にスマホを手にした子たちの列ができている。STYLENANDAのロゴにパームツリーのオブジェとピンクのソファーが配された空間。
そこで写真を撮るために並んでいるのだ。順番待ちをしていた黒のスタジアムジャンパーにタイトなミニスカートの女子2人組は、白くてつるんとした肌に、赤いリップの韓国人メイク。だが、表情はどこかあどけなく、身長は150センチぐらい。杉並区在住の中学1年生だという。
「お洋服は、今日は買わない。写真を撮りたかっただけ」
2人で肩を寄せ合いにっこり笑顔で自撮りを終えると、その場でインスタグラムにアップした。#STYLENANDAのハッシュタグとともに、ネットの世界で拡散されていく。
STYLENANDAが店内に撮影スポットを設置したのは、インスタ映えを狙った作戦のようにも見える。
だが、同社のマーケティング担当者は、「特に意識したものではない」と否定した。
「2012年にソウルの若者の街弘大(ホンデ)に第一号店をオープンした時に、遊び心で撮影スポットを作りました。それがお客様に好評だったので、すべての店舗に写真が撮れる場所を設置したのです」
もともとは2004年に設立された、韓国発のインターネットの通販サイト。日本でもじわじわと人気が広まる中、百貨店の名門・伊勢丹のバイヤーから声をかけられ、2015年秋に伊勢丹新宿店にポップアップストアを出店した。16年2月には、同百貨店内に正式に日本1号店をオープン。そして、今年5月27日に竹下通りに日本初の路面店を出した。
「普通に撮影スポットを作ったところ、偶然同じころに日本で『インスタ映え』が流行したんです。波に乗り、おかげさまで売り上げもずっと好調です」