狂乱のビットコインが抱える「構造的リスク」

『アフター・ビットコイン』著者の警鐘
中島 真志 プロフィール

ただし、どの段階の半減期までが現在の価格に織り込まれているのかは、誰にも分からない。また、ビットコインには株式における投資指標(PER、PBRなど)のようなものがないため、割安か割高かを判断できる基準もまったくない。

こうしたビットコインの「先高観」により、ビットコインは、本来の目的であったはずの「交換手段のための通貨」としては使われなくなっており、もっぱら「投資用の資産」となっている。「この先、値上がりするかもしれないものを、今の支払いに使う人はいない」ためである。

 

マイニング業者「撤退」のリスク

上記のようなリワードの半減期は、マイニング(取引の承認)を行っている「マイニング業者」に対して深刻な影響を及ぼす可能性がある。これは、ビットコインの取引そのものが継続できるか否かにかかわる重大な問題といえる。

マイニングに対するリワードは、初期には1ブロック(ひとまとまりの取引データ)ごとに50BTCとなっていたが、現在は12.5BTCにまで減らされている。今後も4年ごとに6.25BTC、3.125BTC、1.5625BTCと報酬が半減することになっている。つまり、マイニング業者の得る収入はどんどん減っていくことになる(その間に、ビットコインの価格が倍々ゲームで必ず上がっていかない限り)。

マイニングには、かなりのコンピュータ資源を必要とし、計算のために大量の電力を使わなければならない。期待されるリワードの額がマイニングのコストを下回って、採算が赤字になった場合には、誰もわざわざコストをかけてマイニングを行わなくなるだろう。

どこかの時点でマイニング業者が大量に撤退してしまえば、ビットコインのシステムを維持していくこと自体が困難になる。こうした懸念が示されていることにも、注意が必要である。

知らない人ほど楽観的、詳しい人ほど悲観的

ビットコイン相場の先行きについては、ビットコインの仕組みをよく知らない人ほど楽観的である一方で、中身に詳しい人ほど警戒しているという傾向が強い。

たとえば後者の代表として、バブルの研究者として有名なノーベル賞学者のロバート・シラー教授(イェール大学)は、「『根拠なき熱狂』の最も典型的な例がビットコインだ」として警鐘を鳴らしている。また。JPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、「ビットコインは、チューリップ・バブルよりひどく、良い終わり方はしないだろう」と予想している。

2017年の春先まで、世界のビットコインの9割以上を買いあさっていたのは、実は中国人であった。これは、中国元を外貨に換えることを制限する「資本規制」をかいくぐるという脱法目的のために使われていたものである。そのことに気がついた中国政府は、2017年9月に国内の仮想通貨取引所の全面閉鎖という強硬措置をとり、事実上、中国人の仮想通貨市場参加が難しくなった。

これに代わって、夏場からビットコインを買いまくっているのが日本人である。現在、ビットコイン市場全体の5~6割が日本の取引所を通じて取引されている。中国の周回遅れでやってきた日本人が「ビットコインのお祭り騒ぎ」を行っているような状況だ。このため、日本人投資家の秋口からの買い値は6,000~9,000ドル台とかなり高めであり、いわば「高値掴み」を行っている状態にある。

「永遠に上がり続ける資産は存在しない」ことは誰もが知る事実である。そろそろ「ブームには必ず終わりが来る」ということを思い返しておくべき時期が来ているのではないか。