132万頭を犠牲にしている日本人

多くの国が毛皮農場を持つこと自体禁止しており、禁止していないヨーロッパの国々でも将来的には法的禁止をすることが検討されている。

しかし、それは朗報とはいえない。ヨーロッパの毛皮産業はそのノウハウを中国に持ち出し、拠点を移しているにすぎないからだ。

中国では毛皮生産量がいまだに増え続けているという。日本や欧米での需要が減り、価格が大幅に下がっている今、中国の毛皮産業界は毛皮を冷凍保存し、また需要が増えて値上がりする時期を虎視眈々と狙っている。

もちろん日本の市場も、である。日本人の倫理観が再び下がり、リアルファーが売れるようになればまた、大量に市場に投入されるだろう。

アパレル業界に限らず、多くの企業が「消費者が求めるから売る」と言い、消費者に責任を押し付けている。そのずるさが簡単に変わるとは思えない。だから、消費者が賢くなり、リアルファーなどの動物性素材を避けて買い物をしなくてはならないのだ。

輸入量の減少を見る限り、日本人の意識は着実に変わってきている。それでもまだ、日本人の消費のために年間約132万頭*の動物たちが犠牲になっているのだ。

ファッションに動物の犠牲はいらない

冒頭では中国の毛皮産業を紹介したが、動物福祉の意識が強いと考えられている北米やデンマークなどのヨーロッパ諸国の毛皮農場でも悲惨な状態で飼育されている。

動物たちが入れられるのは足元も金網の粗悪な檻、共食いで脳みそがむき出しになり、尻尾や足がもげ、激しい常同行動をし続け、感染症に苦しみ、その年の冬に殺される。

近年はノルウェーやフィンランドではモンスターフォックスと呼ばれる通常の体重の5倍以上に太らされたキツネまで作られ問題になっている。

モンスターフォックス(PHOTO:Oikeutta eläimille)

基本的には肉用と毛皮用のウサギは異なるため、副産物と言われがちのうさぎのファーも正確には副産物ではない。

毛皮農場のスタッフを対象に行われる"福祉的な殺し方"の講習会は、受講者によると、たったの30分で終わるパフォーマンス的なものだったという。

その他にも「福祉的なファーもある」など、業界のいいわけはいくらでも出てくるが、そのいいわけは実態を執拗に調査してきた動物権利団体によってすでに覆されている。

動物を大量に飼育し殺す工場的畜産において、人道的であることはありえない。動物たちは苦しみ、恐怖しているのである。

たとえどんな飼育方法や殺し方であっても、いまこの時代において、ファッションのために動物を犠牲にすべきではないのではないか。ただただ、そう思うのだ。

*財務省貿易統計から換算