宿泊費がタダになる?「変なホテル」が描く冗談のようなホントの未来

これはもう…「革命」だ!
現代新書編集部 プロフィール

1号店は144室で、年間3〜5億円の利益を出している。100室のホテルでも、少なく見積もって2億~3億円は利益が出るはずだ。3~5年で100店舗に増やすので、200億~300億円の利益。それをまたロボットの研究開発に回すから、どんどん人件費は減り、さらに宿泊代を下げられる。

世界に先行して始めているし、観光ビジネス都市ではノウハウ蓄積のスピードが圧倒的に速いので、後発組は追いつけない。

直営だけでなくフランチャイズ化も考えているので、出店スピードはさらに加速するだろう。500店舗、1000店舗まで増える頃には、本当に無人ホテルやタダのホテルが実現しているかもしれない。もうホテル革命だ。

もちろん人間のサービスのほうがいいという人もいるだろう。私も五ツ星ホテルに関しては、人間による高品質なサービスが不可欠だと考えている。ハウステンボスでも、ホテルヨーロッパに対してロボット化は求めない。

しかし、「変なホテル」のような三ツ星ホテル、四ツ星ホテルに関しては、10年以内に大半がロボットホテルに置き替わっていくのではないか?

人口の多いアジアで海外旅行ブームが起きたことで、世界的にはホテルの部屋数が足りなくなってきている。伸び盛りの分野なのだ。だからエイチ・アイ・エスはこの分野に力を注ぐ。海外での展開のほうが多くなるが、おそらくうちが作るホテルの7割がたは「変なホテル」になるだろう。

 

世界初の移動するホテル

実はロボットホテル以外にも、新しいホテルの構想はある。いま開発中で、数年以内にデビューさせるのが水上ホテルだ。強化プラスチックで作ったカプセル状のホテルで、4人ぐらいが泊まれる。

大村湾に長島という離島を買い、ハウステンボスの飛び地にしたのだが、その離島との往復に使うことを考えている。モーターボートなら20分程度の距離を、一晩かけてゆっくりゆっくり進む。ゆっくり進むから揺れは感じず、ぐっすり眠れる。朝起きたら、離島に着いている、という寸法だ。

この水上ホテルがどう発展していくかまだ読めないが、世界初の「移動するホテル」である以上、話題になるはずだ。こうした技術は、いずれ深海ホテルや宇宙ホテルに結びつくかもしれない。世界に出ていく日もあるだろう。

観光地ハウステンボスを舞台に、画期的なテクノロジーが生まれ、新しいビジネスモデルがゆえに利益を生み、世界へ出ていく。私の言う「観光ビジネス都市」のイメージが少しは伝わったのではないだろうか。

「変なホテル」はあくまでその第1号であって、あとにも続々と出てくる。ロボットもそうだろう。もちろんロボットが21世紀の産業の柱になることは、私も理解していた。でも、それが自分のビジネスになるとは考えてもいなかった。

ところが、「変なホテル」で気付いたのだ。ロボットの性能は、ハードウェア、ソフトウェア、運用の3条件で決まる。ハードウェアだけでやろうとしても、ソフトウェアだけでやろうとしても、決してうまくいかない。どこまでをロボットに任せて、どこを人間がやるべきか。それを見極める運用ノウハウが非常に重要になる。その部分ではわれわれ非メーカーにもビジネスチャンスがあるわけだ。

2017年1月にはロボットの導入支援や研究開発を行う子会社「ハピロボST(hapi-robo st)」を設立した。ハピロボではいずれ自社開発もやる予定だ。ロボット事業は近いうちにエイチ・アイ・エスを支える事業の一つに育つだろう。

人を感動させるのが自分の仕事だと、私は思っている。どうやればお客様が感動してくださるか、必死になって考える。感動させるには、誰もやっていないことをやる必要がある。お客様が見たこともないもの、見たら誰かに話したくなるようなことを。それはテーマパーク事業でも旅行事業でもホテル事業でもロボット事業でも、どの仕事であっても同じだ。人間の仕事は創造的であるべきなのだ。

創造的に考える以外に、人間にしかできない仕事があるとしたら、人間をマネジメントすることぐらいではないか? あとの単純作業は人工知能に奪われてもいい。人間にしかできない仕事は必ず残るのだから、恐れる心配はないと思う。

いずれにせよ、ハウステンボスでの経験があったからこそ、こんな発想が生まれてきたのである。私自身、変わったということだ。そもそもハウステンボスがなければ、観光ビジネス都市なんてことは考えなかったのだから。