宿泊費がタダになる?「変なホテル」が描く冗談のようなホントの未来

これはもう…「革命」だ!
現代新書編集部 プロフィール

無人ホテルへの道

技術を応用すれば、顔認証でチェックインすることだって可能だろう。2度目以降のお客様は顔パスの世界だ。チェックインなんて5秒もかからない。初めて宿泊される方でも、事前にスマホから顔の画像を送っておけば、同じことが可能だ。

もちろん、プライバシーの問題があるので、こちらから一律に導入するというわけにはいかない。チェックインからチェックアウトまで一度もスタッフに会わない、つまりプライバシーが完全に守られるという部分で、「変なホテル」を気に入っていただいているお客様もいるからだ。

その一方で、便利さのほうを優先したいお客様もいるだろう。そこで顔認証チェックインをご希望のお客様だけには対応するとか、研究を続けている。

そうなると、もうチェックインレスの時代になる。フロントの前を通りすぎるだけでいい。部屋番号もスマホに送られてくるから、その部屋に向かうと、また顔を見ただけで鍵を開けてくれる。ここまできたら、フロントのロボットさえ不要になる。

チェックインレス――。たしかに便利ではあるのだが、それでお客様に喜んでいただけるのだろうか? 私はなんだか味気ない気がする。何事もバランスが肝心で、「あまりやりすぎるな。愛嬌がなくなるじゃないか」と言っている。

タブレットだって改良の余地はまだまだある。空中の何もないところに画面が見えて、そこで操作する技術の開発も進んでいる。タブレットという物質がないのだから、ここまでくると、かなり未来的だ。これはまもなく実現できるだろう。

「変なホテル」はいま現在も進化を続けている。いずれは無人ホテルも可能になるだろう。一つの中央コントロールルームで、すべてのホテルを管理すればいいのだ。完全無人になれば人件費はゼロ。ホテル代はさらに安くなる。

お客様が必要とされるときは、いつでも人間を呼び出せる。空中の画面に現れるわけだが、遠くのコントロールルーム(外国にあるのかもしれない)にいるのに、まるでそこにいるように感じられる技術も開発されるだろう。

もちろん、お客様の安全が第一だ。火事や地震のような緊急事態が起きたり、お客様が体調を崩されたりしたときは、すぐに人間が駆けつける必要がある。警備サービス会社と組んで、フロントに人間がいた場合と同じぐらいのスピードで駆けつけられないか研究している。

これがホテル革命だ

ここまでの説明で、「変なホテル」の生産性がいかに高いか理解していただけたと思う。コストはどんどん減っている。いずれ宿泊代5000円でも利益が出るようになると確信している。このクオリティでこの値段なら、競争力は圧倒的だ。

 

オリジナル商品を開発しては、自販機で売っている。売店を作らず自販機で売るのは、もちろん人件費カットのためだ。人気が高いのは「変なカレー」で、お土産に買って帰る人が多い。黒練りゴマを入れたレトルトカレーで、パッケージにはフロントの恐竜型ロボットの写真。

2017年の秋には、1号店の共用棟にロボットバーがオープンした。これも人件費がかからないから、かなり安い値段設定にしても利益が出るはずだ。人間のいないところでロボットが稼いでくれる。

こうして宿泊代以外の部分で稼ぐシステムが整えば、何が起こるか? 冗談のような話だが、「宿泊費タダ」のホテルができる。そのシステムから上がる利益が、諸経費より多くなればいいのだから、理論的には可能だ。タダだと批判を浴びそうだから、部屋代200円ぐらいはいただくかもしれないが。

生産性を極限まで高める。その先に待っているのは、われわれが予想もしていなかった世界だ。「変なホテル」は、これまでのホテル業界の常識を覆す、まったく新しいビジネスモデルなのである。