新聞史上最高のエロス 林真理子の『愉楽にて』君は読んでいるか?

まさか日経新聞で…
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大金持ちの「生態」もわかる

もう一つ、この小説が面白いのは、いまの大金持ちの「生態」が詳細に描かれているからだ。久坂や彼の友人ら富裕層は使いきれないほどのカネを持っている。が、物語には、それ以上に大富豪の老人の話が出てくる。

この老人は、バブル期に築いた途方もない額のカネを一体どうやって使ったらいいのか悩んでいた。アメリカのように寄付する文化も日本にはない。女はいくらでも寄ってくるが皆、カネ目当てだ。

最終的にこの老人は、芸術にカネを費やすことにした。音楽家やオペラ歌手のために、東京の神谷町の大豪邸を買いとり、コンサートを上演してやった。『愉楽にて』では、一般人が想像できない大富豪の悩みや生活、女性関係を垣間見ることができる。

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同作で描かれているのは、甘い恋愛ドラマでもドロドロの不倫劇でもない。カネ持ちがゲーム感覚で、次々と女と関係をもっていく。ここに描かれている女性は男に消費される対象なのだ。

アイドルやサブカルチャーにも造詣が深い、経済評論家の田中秀臣氏が言う。

「いまの久坂は圧倒的な財力と大人の駆け引きで、セックスを楽しんでいるが、やがてしっぺ返しを食らって痛い目をみるのか。

渡辺淳一さんの世界観では、こうした男は最終的に破滅するのですが、今回は別の結末が待っているかもしれない。林さんがどう決着をつけるのか、今後の展開が非常に楽しみです」

 

日経新聞の官能小説といえば、'14年に亡くなった作家の渡辺淳一氏が想い浮かぶ。

ちなみに日経新聞で小説の連載が始まると「株価が上昇する」という傾向がある。渡辺氏は、『化身』('84~'85年)、『失楽園』('95~'96年)、『愛の流刑地』('04年~'06年)と3度、日経紙上で連載をしているが、3回とも日経平均は上昇しているのだ。

そして、『愉楽にて』が話題を呼ぶ現在も、株価は上昇中で、来年度中には日経平均3万円という声も上がるほど。