そうだったのか!「紅白歌合戦」のつくり方

ギャラは…?入場券の入手法は…?
週刊現代 プロフィール

ネットの影響力も考慮する

NHK関係者によれば、6月ごろにはプロジェクトが立ち上がるという。

まずはデータを集める。CDの売り上げ、『うたコン』や『のど自慢』などNHKの番組にどれだけ出演したかという貢献度、各地方局の調査による人気ランキングなどである。さらに大手レコード会社にヒアリングを行っていく。

「これに加えて、近年ではインスタグラムやツイッターなどのSNSも丁寧にチェックしていますよ。フォロワー数やリツイート数でどれくらい若者に影響力があるかが、新しい選考基準の一つになっています。

たとえば今年初出場を果たす、若者に人気のある5人組女性ボーカルグループ『Little Glee Monster』や3人組女性ロックバンド『SHISHAMO』は、40代以降には存在が浸透していませんが、SNSで積極的に情報を発信しています。そこで拡散してもらい、若者に紅白に関心を持ってもらうことも重要な戦略の一つです」(前出・NHK関係者)

選考の方法も時代によって、様変わりしているようだ。いまはデータをさらに重視する。前回の出場者であっても、歌手別の時間帯視聴率で数字が取れていなければ、次回から候補にすら入らないこともあるという。

では、演歌歌手はどうやって選ばれるのか。今年は、紅白からの卒業を表明した北島三郎や細川たかしはもちろん、小林幸子や美川憲一、八代亜紀、藤あや子、香西かおりなどの大御所が出場しない。

大ベテランはいまや五木ひろしや石川さゆりぐらいである。これは演歌界にもシビアな世代交代が進んでいるからだ。

まず大晦日の夕方、紅白の放送前の時間帯にはテレビ東京の『年忘れにっぽんの歌』があり、40人以上の演歌歌手がズラリと出演する。多くの演歌ファンはこれで満足してしまい、同じ曲を紅白で聴きたいとは思わない。

「ならば坂本冬美さんや石川さゆりさんの名曲は押さえつつも、福田こうへいや山内惠介、三山ひろし、市川由紀乃、丘みどりらの若手実力派が出演したほうがいいわけです。

なにより、厳正にCDセールスで考えると大御所は上位に入りません。だったら、地方キャンペーンを熱心に行い、拘束時間が長いうえギャラの安いNHKの歌番組にも積極的に出てくれる若手を抜擢していくことが当然の流れでしょう。彼らの背後には大手芸能事務所もいますしね……」(スポーツ紙芸能担当デスク)

 

さらに曲名が知られていなくても、大迫力のステージに定評があるアーティストも起用される。

今年で言えば竹原ピストルだろう。紅白の舞台で初めてステージを見てもらい、視聴者にインパクトを残すことも狙いのひとつだ。'12年の美輪明宏がまさにそうだった。

夏過ぎには候補者のリストアップが終わる。あとはNHKのエンターテインメント番組部の部長と紅白のチーフプロデューサーら3人ほどで最終決定を行う。

制作局長や理事は関与しない。そのため出場者はなかなか漏れ伝わらない。担当者はある時期からレコード会社などとはいっさい接触しなくなる。

この段階で紅白の男女の数を揃え、バンドの数、所属レコード会社などバランスをとることに苦心する。9月から内々に交渉が始まり、10月には8割方の出演者が内定するのだ。