業界のヒットメーカー、ワーナー社長が考える「良い映画」の基準

高橋雅美社長に話を聞いた
週刊現代 プロフィール

【伝言ゲーム】

当社のもっとも大切な資産は、社員の「こんな映画をつくりたい」「こんなマーケティングで伝えたい」といった情熱と、それを実現するクリエイティブな才能です。だからこそ常に、自由にアイデアが言える社風であり続けられるよう心がけています。

具体的には、私が「どんなアイデアでも自分から発言できる人はエライ!」という価値観を持って行動すること、あとは、何が起きても発言者を責めない、という議論の基本を徹底してもらうことです。こういった企業のカルチャーに関することは、機会があるごとに口にし、伝播させていくしかありませんね。経営はある種の伝言ゲーム。先ほど話した「金庫の中の愛情」も、製作者からお客様へと伝播していくものだと思います。

【未知との遭遇】

旅行が好きで、なかでもイタリアには20回ほど行っています。彼らの文化で感心するのは、多様性を受け入れること、『ガリア戦記』にあるように、わざわざ未知の場所まで出かけて戦うすごさ、さらには破ったガリア人を仲間にして、元老院にも加えていくしたたかさにです。この「未知を求め、相手の理屈を聞く」感覚は、ビジネスの現場でも成功の礎になるものだと思います。

 

【山猫】

私のなかで「よい映画」は「何度も観たくなる映画」です。たとえばSFというジャンルをつくった名作『ブレードランナー』。ほかにはヴィスコンティの『山猫』はイタリア貴族の没落を美しく描く映画です。映像作品は、自分を映す鏡かもしれません。なぜなら、自分が好きな映画を知ることで、自分自身を知ることができるからです。

何度も観る映画がなぜ好きなのかを意識すると、自分の感性がどんなものなのか気づけますからね。我々は今後も、多くの皆さんの心を震わせ「何度でも観たい」と思っていただける映画をつくっていきたいと思います。

(取材・文/夏目人生法則)

高橋雅美(たかはし・まさみ)/'59年東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科を卒業し、広告会社、日本コカ・コーラ等を経て、'04年からウォルト・ディズニー・ジャパンに勤務。同社アニメーションビジネスを躍進させ、'15年にワーナー ブラザース ジャパン合同会社に入社。'16年に社長兼日本代表に就任し、以来現職

『週刊現代』2017年12月2日号より

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