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こんなに違った「長生き」長野県民と「短命」秋田県民

これが健康格差の現実…

安定した収入が長寿の秘密

男性の平均寿命をみると、もっとも長生きなのが長野県で、80.88歳。秋田県は78.22歳で平均寿命こそ青森県の77.28歳より上のブービーだが、がん死亡率、脳血管疾患による死亡率がともに全国ワースト1の「短命県」だ。

東京23区では、平均寿命が低い区は平均年収も低いという相関関係がみて取れたが、その傾向は都道府県別の平均寿命にも当てはまる。

平均寿命で下位に位置する秋田県や青森県、岩手県は平均年収も低い。

平均寿命2位の滋賀県は年収で7位、年収2位の神奈川県は平均寿命で5位である。

長野県は年収では21位だが、'15年に県の健康長寿プロジェクト研究チームがまとめた長寿1位の要因分析によると、他県に比べて就業率が高く(男性は全国5位)、高齢者就業率に至っては全国1位だった。

つまり、多くの人が安定した収入を得ていることがわかる。

 

一方、秋田県では高齢化が全国を上回るペースで進行していることもあり、65歳以上人口に占める非就業者の割合(82%)は全国水準を上回って増加傾向にある。

「下流老人」と言われる低所得の高齢者ほど、おカネがないため医療機関の受診を控えており、その結果は健康状態に如実に現れている。

千葉大学の近藤克則教授の研究によれば、具合が悪いのに医療機関の受診を控えたことがあると答えた高齢者は、年収300万円以上の人が9.3%なのに対して、年収150万円未満の人は13.3%にのぼる。

その理由として年収300万円以上では「待ち時間」をあげた人が多かったのに対して、年収150万円未満では「費用」をあげる人が多かった。

秋田県の平均年収は370万円だが、厚生労働省の「平成26年賃金構造基本統計調査」によれば、65歳では292万円に下がる。

都道府県の健康格差を生むもう一つの要因が「地域差」だ。温暖な地域、寒冷な地域、海のあるなし、平野か山地かによりライフスタイルはかなり異なる。それによりもっとも差が出るのが「食生活」である。

〈秋田県の人たちの食生活を取材したところ、分かったのは、食生活というのは、生まれ育ってきた環境によって大きく左右され、それがまさしく生きることと直結した問題であり、到底「個人の意思」というものでは変えられるものではない〉(『健康格差 あなたの寿命は社会が決める』NHKスペシャル取材班)

『NHKスペシャル』('16年9月放送)では、胃がんにより胃の4分の3を切除した秋田県の男性の食生活に密着。

妻が夫の健康を気づかい、野菜中心のメニューを用意しても、塩鮭のハラスに箸をのばし、マグロの刺身も醤油をたっぷり注いだ小皿にしっかりつけて口に運ぶ姿が映し出された。