炎上弁護士が実名告白「私に殺害予告が来るまで」

男はオフィスに突然やってきた
唐澤 貴洋 プロフィール

犯行予告等の権利侵害行為を行った犯人の身元を特定するのは、所在が海外であったり、技術的に難しいということを除けば、法律上は可能になっている。具体的には「プロバイダ責任制限法」という法律を利用する。

同法律では、権利侵害を受けた者が発信者を特定したい旨をプロバイダ(インターネット接続業者)に請求した場合、プロバイダは発信者に対して、発信者特定に役立つ情報(住所、氏名、メールアドレスなど)を請求者に公開していいかの照会をかける。

この法律にもとづき、私はプロバイダに発信者特定に役立つ情報を開示してほしいと請求をかけた。その結果、Cのもとへ意見照会がなされた。

するとCは、あろうことかこの意見照会を、インターネット上に公開したのだ。Cが晒した文書の中には、うかつにもCの名前が記載されている文書もあった。

その後のCの行動は異常を極めた。爆破予告を繰り返すだけでなく、深夜に私の事務所へやって来て、事務所が入っている建物に貼ってある住居表示板をはがすといった嫌がらせを行った。

さらにCは、自らテレビの取材を受け、顔半分をマスクで隠して露出を行うようになり、犯行を劇場化していった。

Cはその後ようやく逮捕された。Cが逮捕されるまでは、想像を絶する誹謗中傷・罵詈雑言が毎日されていたが、Cの逮捕後は一部収まった。

Cは刑事裁判で執行猶予付きの有罪判決(懲役2年半、保護観察付執行猶予4年)を受けることとなった。

しかし、執行猶予期間中に、埼玉のとある駅の公衆電話から地方自治体に対して同じく爆破予告を行い、再度逮捕され、再び有罪判決を受けることになった。

年末の埼玉県の閑散とした駅で、一人公衆電話にいたCを想像すると、とても悲しい気持ちになる。Cは、これから数年間服役することになる。Cの更生を心から願っている。

 

成りすましも後を絶たない

ある日、私の成りすましが自治体に対して爆破予告をしていたので、その自治体の警察官が突然事務所にやって来た。私は、私に対して今まで起こっていることをすべて説明し、これが悪質な嫌がらせであることを説明した。

その際、警察官からは「通信ログ」を提供してほしいとの申し出があった。それは、パソコンを提供することなのか、どのような方法で何のデータを提供することなのか、明確でないままの申し出であった。

私は「通信ログの提供の方法を明確に教えてもらえれば、協力のしようがあるが、現状だとどう協力すればいいかわからない」と述べて、お帰りいただいた。

このような申し出は、私の通信ログを調べる必要があると警察署が判断したということに他ならない。

捜査の初期で、多くの可能性を探る中の一つの手段にすぎないのであろうが、このような申し出は、ともすると、私が疑いの対象に入っているのではないかとの懸念を持たせるに至り、この種の捜査の難しさを感じた。

個々の警察署では、どのように捜査すればいいのか試行錯誤を続けているのだろう。

ここまで私の身に起きた炎上の実態を記してきた。後編では目に見えにくい炎上加害者の素顔を明かす。私が直接対峙した15歳の少年は、なぜ会ったこともない私に嫌がらせをしたのか。本人に直接話を聞いた。

(後編はこちらから)