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炎上弁護士が実名告白「私に殺害予告が来るまで」

男はオフィスに突然やってきた

自宅を特定された日

2016年1月4日、38回目の誕生日を迎えたその日、自宅のポストに1通のレターパックが入っていた。嫌な予感がした。当時(今も)私は、とある理由で炎上していたのだ。

ネットで誹謗中傷を繰り返す人々(以下では、「ネット加害者」と呼ぶ)から、日々追われていた。「ついに、自宅を特定されたのか」目の前が真っ暗になった。

これまでも、実家の住所が晒されたり、街を歩いているところを盗撮されたりなどのプライバシー侵害やいやがらせを受けてきた。ついには、住むところさえも危険に晒されるようになったのかと絶望的な気持ちになった。

不安に駆られながら、インターネットで自分の名前を検索した。すると、私が住んでいるマンション名を誰かが掲示板に書き込んでいる。

しかし、部屋番号まではわからなかったようだ。たしかに、レターパックには部屋番号が書かれていない。おそらくいつも配達にくる郵便局員の人が、気を利かせて私のポストに入れてくれたのだろう。

レターパックは、配達記録が残るため、配達されたことが投函者にはわかる。そうなると私の住所に確信を持った不審者が、マンションにやってくるかもしれない。心臓の鼓動が早くなる。

「周りの人に迷惑だ。もうここにはいられない。今すぐ家を出よう」トランクに荷物を詰め、逃げるようにマンションを後にした。

部屋番号まではバレていないものの、いつマンションに不審者がやってくるかわからない。すぐに郵便局へ移転届を出し、ポストにガムテープを貼った。

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ひとまず、新居に引っ越すまではホテルに滞在することにした。その日は、眠ることができなかった。人生が走馬灯のごとく思い返された。

なぜ私の住所がバレたのか。インターネット上に分散している投稿を分析していくと、私が卒業した大学のOB名簿が情報源のようだ。大学には、その旨のクレームを入れたが、広報部署からの報告はなかった。

以前、私に対する殺害予告が同大学のIPアドレスからなされたこともあった。大学のWi-Fiから書き込んだのだろうか。このことも、同大学の広報部署に連絡をしたが、いまだに返事はない。

 

私が炎上したワケ

なぜ炎上したのか。私はもともと、弁護士としてインターネット上で誹謗中傷を受けている方の弁護を担当し、誹謗中傷記事の削除等を行ってきた。

2012年3月に「2ちゃんねる」に違法性のある書き込みの削除請求をしたところ、当時の掲示板の仕組みにより、私の名前が知られるところとなった。それをきっかけに私の行動がネット加害者に知られ、今度は私自身が誹謗中傷されるようになったのだ。

ネット加害者に知られた瞬間は今でも覚えている。まず、掲示板上で私の事務所のホームページやTwitterアカウントが探し当てられ、揶揄されだした。

当時、私の事務所は誹謗中傷・名誉毀損問題をメインの分野として仕事をしていたので、名誉毀損と関わりがある政治家、芸能人、著名人などをTwitterでフォローしていた。

そこで私がアイドルをフォローしていたことが問題視されていた。あいつはアイドルオタクだ、と。

アイドルオタクだと何がいけないのだろうか。ちなみに、私自身はアイドルについては詳しくない。私の趣味は映画鑑賞と本を読むことで、アイドルは専門外の話だった。にもかかわらず、ネット加害者は私が「ドルオタ」であるとのレッテルを貼り付けることで、ある種の高揚感を味わっているようだった。

私は、インターネット上でついた小さな火が炎となり、燃え上がりだしているのを見て、大変な恐怖を感じた。