地方創生「人口減少は自治体の責任」が詭弁と言えるこれだけの証拠

政府の失敗を押しつけるなんて…
今井 照 プロフィール

若年世代の貧困化

第三の山ができるはずだった2000年代前半、成人した団塊ジュニア世代はなぜ親世代のように子どもをつくらなかったのか。その要因の一つと考えられるのは、若年世代の「貧困化」です。

【図2】は、20歳代の所得分布を1992年から5年ごとにみたものです。年収250万円以上の階層は97年以降減り続けており、特に1997年から2007年の減少は顕著です。逆に150万円未満の階層は増えています。

この時期は社会全体がデフレだったため、どの世代も所得は伸びていません。しかし、若年世代はもともとの収入が少ないので打撃も大きい。これは世の中の景気が悪くて就職状況が悪かったという単純な話ではありません。この時期に雇用構造が大きく変化し、若年世代はそのしわ寄せを被ったのです。

【図3】は、15歳から24歳までの男性の非正規雇用率の推移を示したグラフです。90年代半ばから非正規雇用者が急激に増加し、2000年代に入ってからも(多少の波があるものの)なだらかに増加しています。

また【図4】は雇用形態別の年収を示したものです。これはグラフを見るまでもなく直感的にも明らかなことですが、正規と非正規の間には大きな所得の差があります。

いまご紹介した三つのグラフを組み合わせて考えると、90年代後半から2000年代前半にかけて若年世代の貧困化が進んだことがよくわかると思います。

 

非正規はやっぱり結婚が難しい

このような非正規雇用の増加と所得低下に追い込まれた若年世代にとって、結婚や子育てのハードルが高くなるのは想像に難くありません。

【図5】は、配偶者がいる人の割合を雇用形態別にみたもので、正規と非正規との間に厳然とした差が生じていることがわかります。社会全体が晩婚化や非婚化の傾向にあるのは間違いありませんが、特に非正規雇用者にその傾向が顕著であることがグラフから明らかです。

結婚に至ったとしても、夫婦が子どもを産み育てることができるかというと、それは別の話です。

文部科学省は隔年で「子供の学習費調査」を公表しており、2016年12月に発表された最新の調査結果によると、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の教育費は523万円(前回調査では500万円)、すべて私立に通った場合は1770万円(前回調査では1677万円)です。

これらはあくまで教育費だけを積み上げた金額で、日常の生活費が別途必要になります。所得300万円未満が大半を占める非正規雇用者は自分たちが生きていくだけで精一杯であり、何らかの支援がないかぎり子どもを育てるのは難しい。もし思いがけず子どもができてしまったら、育児環境は困難を窮めること間違いなしで、そのしわ寄せが幾多の悲劇を生む温床となるのです。