「変なホテル」はなぜ大成功したのか? 社長がはじめて秘密を明かす

必ず結果を出す経営手法
現代新書編集部 プロフィール

世界を平和にする新事業に挑む

「それにしても、どうして旅行会社がエネルギー事業とか農業(植物工場の運営)とか、まったく関係のない分野に手を出すの?」

そう疑問に感じた読者がいるかもしれない。しかし、私の頭のなかでは、すべてがつながっている。

旅行業は平和産業である――。それが私の持論だ。昔からそう言い続けているが、2016年にヨーロッパ各地でテロが相次ぎ、ヨーロッパ旅行も壊滅的に減ったときは、改めてその思いを強くした。

 

湾岸戦争のときも、9・11同時多発テロのときもそうだったが、海外旅行をする日本人が「ゼロになるんじゃないか?」と思うほど激減する。エイチ・アイ・エスのお客様の大半はビジネス目的ではなく、観光目的の個人客なので、影響がよりビビッドに出る。平和であってこその旅行産業なのだ。

では、なぜ戦争が起こるのか? 大半はエネルギーか食糧の奪い合いである。だから、より安い価格で、より安定的にエネルギーや食糧を提供したい。それがエネルギー事業や植物工場を始めた理由である。

より安く安定的に提供するには、生産性を高めることが不可欠だ。だからロボット事業なのである。「変なホテル」はロボットの実証実験の場でもある。ロボットが仕事をしてくれれば、人間の余暇も増える。

そうして世の中が平和になり、余暇が増えれば、安心して旅行を楽しんでもらえる。かつての「本業」である旅行業にも大きな恩恵があるわけだ。

きれいごとだと笑われるかもしれないが、エイチ・アイ・エス・グループの企業理念は「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」。私は本気でそれを実現したいと考えている。

歳をとるほど「世のため人のために仕事がしたい」と考えるようになるものだ。もちろんビジネスである以上、利益は無視しない。しっかり儲けつつ、結果的に世のため人のためになるよう働くのである。

ちなみに、「4本の柱」は、すべてハウステンボスから生まれてきた事業だ。いずれも大きく成長し、数年のうちに世界へ打って出られると確信している。詳しくは『変な経営論 澤田秀雄インタビュー』(講談社現代新書)で説明しているが、ハウステンボスは単なるテーマパークではなく、先端技術の壮大な実験場なのである。

澤田秀雄氏はハウステンボス園内をこんなカートで視察する

ハウステンボスの再生を引き受けたときは、勝算こそあったものの、ここまで孝行息子に育つとは予想もしていなかった。単なる石ころかもしれないし、良くて石炭ぐらいだろうと考えていた。

特に再建1年目は「拾ったのは、やっぱり石ころだったか」と暗澹たる気分になることもしばしばだった。ところが、年を追うごとにはっきりしてきた。ダイヤモンドの原石だったのである。

いまから考えれば、転機はハウステンボスだった。ハウステンボスの社長もまだ続けているが、そこで私が何に気づき、どう考え方を変え、その経験がどういう形でエイチ・アイ・エスの大改革につながったのか、洗いざらいこの本で紹介している。

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