家族はコスパが悪すぎる?結婚しない若者たち、結婚教の信者たち

超ソロ・生涯未婚時代をどう生きるか
赤川 学 プロフィール

選択肢が増えると王道が再評価される?

書き手の性別や立場こそ異なるが、荒川氏が描く、超ソロ社会における他者とのつながりと、永田氏が描く、多様な生き方の尊重と包摂という社会構想は、似通った面がある。

それは、若者が「結婚できない」という点だけをやたら強調し、悲惨な未来年表を描きがちな少子化言説の風景からは忘却されてきた視点である。

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他方、人々の考え方や生き方が多様化し、「選択肢が増えるとかえって王道が再評価される」という永田氏の分析も重要である(P.83)。

性解放のあとの家族回帰、不倫ブームのあとの純愛ブーム、はたまた「みんなが格闘技に走るので、私、プロレスを独占させていただきます」と述べたジャイアント馬場の「王道」(古いか…)。

人々を拘束してきた規範や秩序がゆらぎ、新しい選択肢が目の前に提示されるとき、人は却って、過去からの伝統を呼び戻し、それに縋ってしまう。生と性の多様性を提示する言説もまた、この心理的・社会的障壁と戦い続けざるをえない。

新しい社会構想を打ち出した若き選ばれし社会学者の「恍惚と不安」もまた、ここに存するのではなかろうか。