筆者は10月28日号で、安倍晋三首相が同26日に官邸で開かれた前回の経済財政諮問会議で「3%の賃上げを期待する」と発言したことを書いた――。
政府筋から興味深い反応があった。いや「反応」というよりも、むしろ「補足説明」である。
そしてそれは、詳細にして分かりやすいものであった。一端を紹介したい。
賃上げのためのインセンティブに踏み込んだものだ。
上場企業大手が賃上げと設備投資に向けて前向きであれば、法人税の現行27.99%を25%まで減税するというのである。所謂「アメ」だ。
一方の「ムチ」は、コーポレートガバナンス・コード改革に関わることである。
各企業の400兆円に及ぶ内部留保の使途計画を説明させて、実行責任を負わせるというものだ。
その責務を果たさなければ、企業名を公表する。
あるいは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF。高橋則広理事長)に当該企業の株式を購入させないという。
さらに労働市場改革との関係についても、説明があった。先の首相発言からも読み取れた労働モビリティに関するものだ。
国内外の投資家や専門家が注目しており、まさに現下の東京株式市場の日経平均株価にも途端の影響がある。