中国共産党が「ネパール乗っ取り」を目論んでいるこれだけの証拠

多額の援助の裏にあるもの
長谷川 まり子 プロフィール

当局による人の移動の推進

ネパール政府の統計データによると、2015~2016年の財政年度において、中国のネパールに対する投資額とプロジェクトの数は第1位とのことである。こうした一連の流れを受け、最近、聞かれるのはこんな声だ。

「中国はネパールのためにいろいろしてくれるから好き」
「ネパールは、ずっとインドに寄りかかっていたけれど、これからは中国と仲良くした方がいい」

インフラ・道路交通・医療衛生・教育文化など、さまざまな分野でネパールを援助する中国。2015年に発生したネパール大地震以降、援助の幅はさらに広がっている(写真:著者提供)

さまざまな形の援助によって、ネパールの民衆の心はがっちりつかまれてしまったようである。

チャイナマネーとともに、人員もどんどん投じられている。前号で記したとおり、急増する中国人観光客を当て込み、ホテルやレストランを開業するため、ネパールに移り住む中国人が増え続けているのだ。

ネパールに暮らす中国人を見かけ始めたのは、10年ほど前のことである。駅弁や球場の売り子のように、首から下げた木箱におもちゃのような腕時計を並べて売り歩く行商人だった。ネパール語も英語もまったく話せない様子だったが、身振り手振りでネパール庶民を相手に小商いをしていた。その質素な身なりから、本土で生計が立てられず、出稼ぎにやってきたのだろうと思ったものである。

 

ところが、昨今の移住者は、かなり景気がよさそうだ。カトマンズの王宮通りは、ネパールでもっとも地価が高いとされるが、次点のタメルも20平米6万ルピー(約6万円)と高額である。そんな一等地のタメルに、ホテルやレストランを開業するとなれば、かなりの資金を要するはずだ。

ならば、富裕層が移住してきているのかといえば、どうやらそうでもないようである。10年前に見かけた行商人と大差のない風貌の人ばかりだからだ。
前出のビシュヌ記者によれば、やはり富裕層ではないという。

「普通より少し下の経済レベルだと思います。なのに、タメルの新築ビルにテナントに入りするのは中国人ばかり。新築の家賃はさらに高いのに、広いスペースのレストランやホテルをオープンしています。おそらく、非常に低い金利で借り入れができるとか、移住支援の補助金がもらえるとか、中国政府の経済的な後押しがあるのだと思います」

どんどん投じられる人とカネにより、景気の上昇をみせるネパール。市井の人々は無邪気に喜んでいるが、どうにも危惧されてならない。なぜなら、その背景に、中国政府の壮大な企みが見え隠れするからである。

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